済州港出航
資料館の前のタクシーはすべて予約のものらしく、新しく入ってきたタクシーに乗るように言われた。タクシーには8インチほどのマイク付きディスプレイがあって、私に日本語で行き先についていろいろと聞いてくる。私の指示でフェリーターミナルに着いた。が、なんと彼は木浦行きの旅客船ターミナルはここではないと言い張るのである。どちらにしてもここに荷物を置いているのでここでおろしてくれるように頼み、2700wを渡して下りた。
とはいうものの、不安なので真っ先に案内に行き、ここが間違いなく乗り場なのか確認をした。ここには日本語の話せる案内がいて、切符の買い方なども説明してくれた。 ..となると、タクシーのいうとおりにしていたらどこに連れて行かれたのであろうか。搭乗書類は特にないようで、売り場に行くとすぐに木浦行きチケットを39500wで発券してくれた。
しばらくすると改札が始まった。そこで切符に名前とパスポートナンバーを記入するように言われ、再び列び改札を通過した。そのすぐ後で、職員と警察官?(紺の制服)と軍人(迷彩色の服)のチェックを受ける。パスポートを渡すと、軍人が金属探知器で体やザックをと調べる。ザックには手を突っ込んでごそごそ調べるが、それほど徹底してはない。一応形式らしくて、その後、探知機が鳴ってもそのまま行くように言われた。とはいえ、国内航路でここまでやるか。...
改札を出て横を見ると免税店らしきものもあるが、ショッピングの時間はない。目の前のフェリーに乗り込むのだと思ったが、先に停泊している高速船に行くよう指示された。チケットをもいでもらって入船する。
景色の良さそうな左の窓際の売店前に座る。
船は定刻の14:30に出航した。300ほどの座席があり、客はその三分の一程度乗っている。なぜかほとんどの人が後部の座席に座り、景色のいい?前の方はがらがらだ。その理由はすぐにわかった。港を出るとすぐに激しく揺れ始めたのだ。それほど小さな船でもないのに揺れるというよりまさにダイビングしている感じだ。もともと船酔いには弱いのだが、特に下る(落ちる)時は腸ががかき混ぜられているようで気分悪いことこの上ない。まだ港を出たばかりだというのに...。出航前にマッコルリを飲んでいたので、少しは紛らわせたが、ただひたすら耐える地獄の3時間を覚悟した。地図を出して航路を確認する。途中二つの港に寄るらしいがハングルなのでよくわからない。たぶん、一つは楸子島だろう。波しぶきで窓は塩まみれ、島影一つなく、景色なんて道でも良いわけで、揺れの激しい前部座席は敬遠されていたわけである。
1時間くらい耐えただろうか。前方に小さな島が見えてきた。地図にはないが、時間的にみて楸子群島の一つであろう。やがて前方にいくつかのまとまった島影が見えてきた。これぞ済州道の北端、楸子郡島である。揺れもこころなしか小さくなってきた。島を回り込んだかと思うと小さな港があり、入港した。窓は塩でほとんど見えないので港の様子はわからなが、ほとんどの乗客がここで降りていく。20〜30人が乗り込んできて、船は出航した。
揺れはそれまでよりも小さい。すぐに右手に所安群島が見えだした。もう少しで内海で、この地獄の揺れも治まるはずだ。実際左手に独巨群島が見え出すと、今までの波が嘘のようになくなり、船は滑るように進む。珍島が近づき、海苔の養殖いかだが見え始めるともう安心だ。
17:10、海割れ(単なる潮の満ち引きでできる海の道で、私は興味はない)で有名な珍島の小さな港に入港。このときは後ろから人は出入りしている。5分ほどの接岸で船は出航した。夕陽が島影に沈もうとしている。職員がチケットの半券を回収していった。左手に見えるピダミダルな山に日が落ち、韓国で初めての斜張橋である珍島大橋を17:22に通過する。
木浦は近い。売店の兄ちゃんは天井のコンセントに掃除機のコードを繋ぎ、船内の掃除を始めだした。18時前に前方に灯りが点々と稜線にある山が見えだした。韓国有数の港町のランドマーク、儒達山である。花火のイルミネーションのあるホテルを回り込むと港の灯がみえてきた。灯りのほとんどがナトリウム灯で、都市のはずなのだがネオン等の華やかさはない。普通の港って感じである。港に着くと、もう全員が出口に列んでいる。
H14.12.29-5