木浦の夜
夕食をとるため、繁華街と思われる駅の西の通りに行ってみる。特に目新しいものはなかったが、目を引いたのは、開店イベントを行っている店である。写真のように店の前に風船でできた大きなアーチの門があり、コンプレッサーの力でコミカルに動く両手を広げた筒状の人形が踊っている。門の前にはお立ち台があって二人のミニスカートのお姉さんがダンス曲を大音量で鳴らして歌ったり踊ったりしている。
でも、なかなか入りやすい食堂がない。やっとの思いで選んで入った食堂も混雑していて、開いていた食堂の真ん中の席に座る。何を食べようかと悩んだが、せっかくだから、変わったものに挑戦してみようと、店の目立つところに赤で札の出ていた「タンバチュク:3000W」を指して、「イゴジュセヨ」と胸を張って注文した。店員は一瞬固まったが、再び言うと厨房に入っていった。やがて「タンバチュク」が出てきた。これを観て唖然!写真の通り、いわゆる(小豆粥に餅とクルミが入った)お汁粉だったのだ。おやつ食なので、ミッパンチャンも出てこない。ものがものだけに追加注文も出せず、甘いものの苦手な私は、それでも空腹なので仕方なくスッカラでお行儀よくタンバチュクをひたすらすすった。夕食時に店の中央でお汁粉を一人ですするでかいアジョシの図は、それこそ異様な光景であっただろう。見渡すと、この食堂は子供連ればかりでキンパプやトッポッキなどを家族で楽しく食べている方々ばかりだ。
早々に食堂を出る。仕方ないので屋台で食料を買って帰ることにでもしよう。しばらく屋台の通りを歩く。木浦だけにいか焼きなどの海産物が多い。江原道では多かったポンテギの屋台など一軒しかない。私はそこでセットで売られることの多い、酒の肴にはもってこいのソラ(小さな貝)を買う。愛想の悪いアジュマが、2000wで紙コップ一杯のソラをつき出した。
そして、途中で気になったボリュームのあるでこぼこホットドック(ホットドックにサイコロ状のポテトを絡まして揚げたものに砂糖とケチャップがかかる:写真)を買ってかぶりついた。これもあまりかっこいい図ではない。
歩道橋を渡って駅前に戻る。屋台街にも一人いたが、歩道橋の上にもお金を入れる缶を前に置いた(昔のイメージ通りの)乞食がいた。寒空に歩道橋の上、さらに目も見えない様子である。私はあまり人に施すのは好きではないが、タンバチュクを食べてちょっと情けない気分になっていたこともあり、親近感をもって千w札をそっと缶に入れた。
駅前のコンビニに入るが、日本とは違い例によって調理してある食べ物は少ない。ペチュキムチと清酒を買って帰る。今日は疲れているが、変に飲んでも酔えない。テレビを観ながら清酒を飲んで寝る。
H14.12.29-7