昭陽ダム

 11時20分になったので駅舎をでて、バスに向かった。タクシーの運転手がバスの前にいたので、会話の練習だと思って地図を指しながら聞いた。「イゴポス、ソヤンダムカヨ?」ところがその運転手は「アンガヨ」と言うのだ。自分が今から連れて行ってあげるといったふうである。あやしいと思ったがもう一度確認して、さらにバスの運転手をつかまえて聞いた。もちろんバスの運転手の答えは「カヨ」である。ということで、500W?を入れてバスに乗り込んだが、タクシーの運転手はバツが悪いのか駅を去っていってしまった。後で調べると春川のタクシーは特別料金を取る上にノルマが厳しいらしい。お金に余裕がない人は、注意しなければならない。
 バスは定刻に駅を発車、一度南に下った後市街地にはいる。おもしろそうな街である。バスから見る限り、市場も露店の人も活気があって魅力的で、降りようかともちょっと思ったが、やっぱり先に進むことにする。昭陽江に沿ってバスは、どんどん上流に向かって登っていく。そのうちロックフィル式のダムが見えてくる。ダムの下には検問があって、週末は一般車はそこに泊めてバスに乗り換えるらしい。バスはそのままダムの上までジグザグに登っていく。
 11:53 ダムの上の昭陽台という広場に到着した。ここは駐車場とバスの切符売りらしい小さな小屋が建っている。手前にダムの説明がハングルで書かれているが、数字を見ると、1973年10月に竣工し、高さ123m、長さが530mで6100万kwh/年の発電量、29億tの水量をもっていて、調べたところ、このダムがソウル首都圏の60%の水道水をまかなう重要な水資源になっているそうだ。まわりの看板を見ると"撮影禁止"と書いてあったらしいのだが、もちろん分からないので思いっきりデジカメで撮影した。
 昭陽ダムから奥に露店、食堂、喫茶店、記念品店、休憩所などがずらりと並んでいる。季節によってはワカサギの水槽を店頭に出しているとのことである。今回の旅で、日本にはないが一般の露店にはある韓国特有のものの1番は、やはり「ポンデギ」(蚕のさなぎのしょうゆ煮)だろう。においも独特で、見た目もグロテスクで気持ち悪いが、たんぱく質が豊富で、香ばしい。日本でも昔は蚕さなぎを食する習慣があったそうで、子どもの夜泣き、ゼンソクに、また栄養剤として食べさせていたそうだ。
 蚕のさなぎと、ソラという巻き貝が例によって売られている。今回は旅の初めなのでここで食べ物でダメージを受けるわけにはいかないので遠慮したが、最終日にはこいつも食べてやろうと思った。道は上下に分かれて上は大きな展望食堂のようなものがある。私は足早に150mほど先の船着場に降りていった。

   2002' 8/23