楊口大橋から堤防沿いに帰る

 しばらく歩くと楊口大橋で、ほとんど人気もない。橋のたもとから橋の下に回り込む。橋の下には落書きがあるが他には何もない。ゴミもほとんどない。50m程向こうの対岸にはビーチパラソルを広げた釣り人が2人ほどいる。堤防沿いにしばらく歩くが、これは左は川、右は田園の日本の懐かしい風景である。堰堤がありそこにコンクリの広いスペースがあるのでそこに降り休憩をとる。登山靴で平地を歩き回るのはちょっとつらい。久しぶりに脱いで、水に浸すと気持ちがいい。水は澄んでいて水温はそんなに冷たくはない。しかし、枯れ葉剤をまかれたDMZ付近の川ということでちょっと不安もある。50cm大の石が敷かれているが褐色の川苔がびっしりと着いていてぬるぬるする。よほど好奇心が強いらしい。しばらく足をつけていると逃げていた魚たちが寄ってきた。カワムツやニゴイ、濃い縦縞があるモロコ、そしてヨシノボリのようなハゼの仲間が私の足にのったりつついたり楽しい。
 ずっと、ぼーとしていたかったが、やがて遠いところで聞こえていた雷鳴が近づいてきた。そろそろここを立ち去る頃合いか。しばらく濡れた足を風にさらし、乾いたら靴下をはいて靴ひもを閉めた。3艇ほどのカヌーが無造作に置いてある。それもカナディアンである。大人の川遊びもあるらしい。堤防沿いにしばらく歩くとパラパラと降ってきた。降り出したなと思うと、すぐに大粒の雨が容赦なく降ってきた。ソナギである。田圃の真ん中のことで木一本もない。本当に逃げる場所は全くなく、なんか濡れていたい気もするが、旅行の初めに風邪を引くわけにも行かない。調子の悪い足を引きずって500mほど走り、橋のたもとのバス停に逃げ込む。かなり濡れたが、やがて雨も小降りになり再び堤防沿いに楊口の市内に向かう。
 唐辛子?のハウスや田圃の真ん中に柳の大木などもある。街が近づいてきたが、雨もまた降り出した。大きな橋がある。橋の向こうには高校があるらしく多くの生徒が下校している。韓国の北のはずれの田舎町だが純朴という風はない。制服は日本のようだが、男子生徒は皆シャツを出している。靴に規制はないらしくいろいろだ。特にカップルで下校する生徒、奥に女子はちょっと問題かなと思わせる雰囲気がある生徒もいる。そんなとこもある意味、日本的でもある。
 やがて街に帰ってきた。鶏肉屋の前を通る。奥には鶏の籠があり、見えているだけでも5〜6羽の鶏がいる。その場でさばいて売る形式らしい。市場を通るころ、雨が激しくなってきて、傘をもってきていない私はずぶぬれになりそうだ。旅館の前には万屋がある。そこでメクチュ2本とソジュ1本、えびせん?を一袋買って旅館に戻る。シャワーを浴びて酒盛りして一寝入りする。起きるとすでに11時をまわっている。お腹は減っていたが、なんか疲れていたのでテレビを見ながらぐったりと横になっていたかった。


   2002' 8/23