束草からミョンパへ
旅館を出て、具体的な案内を聞くために500m程先のインフォメーションセンターのある束草港内の国際旅行ターミナルにいく。最初に計画していた金剛山への旅はここから始まるのらしい。行く途中、なんかお祝いの船が出るらしく、船の前で大騒ぎしたり、記念撮影をしたり、おまけにテレビ局まで来ている。また、修学旅行か遠足だろう。中学生も集合して、先生の注意を受けている。日本でも以前見られた高圧的な指導を教師はしている。
ターミナルは新しくきれいだ。インフォメーションセンターで、地図を指しながら統一展望台への行き方を尋ねた。日本語は全く通じないようなので、英語も交えて話したが、結局、そこの職員はどこかに電話をした。そしてその電話に出ろと言う。電話に出るとちょっと発音の不自然な日本語の対応が返ってきた。統一展望台への行き方を尋ねると、「市外バスターミナルの前のバス停で1番(だったと思う)のバスに乗って、終点まで行くと、そこにリムジンバスが待っていて、統一展望台まで連れて行ってくれる。」というのである。「最終が4時半だから注意してください。」簡単じゃないか..と安堵するが、それがなかなか大変なことだと後で思い知ることとなる。春川でもあったのだからと、「ソクチョチドforイルボンサーラム」と日本人用の地図を頼むと、これしかないといって英語版の地図をくれた。
再び市外バスターミナルに向かう。ターミナルの向かいにKBSがある。ここを拠点にドラマ「秋の童話」が作られたのだろうか。そちら側のバス乗り場は2つある。バス停の経路図のカンソンやコジンのハングル地名を確認して、西のバス停でバスを待つ。やがて1番のバスが来た。一応、路線図の終点付近の町である「テジンカヨ?」と確認して乗り込む。運転手は人の良さそうなさわやかな若者で、対応してくれる。料金を聞き取るのは困難だった、最初が「イチョン..」だから3千Wを入れる。30Wのお釣りがでてきたので、2970W(イチョンクベクチルシボン)だったわけだ。ちょっと要領が良くなったぞ。バスは市街をぬけヨンナン湖畔を通り、国道7号線を北に向かう。韓国の主要幹線道は広くまっすぐだ。北韓国の道は飛行場としての使用も考えられているらしい。
相変わらず海岸線は延々と続く鉄条網で、ホテルや海水浴場の部分だけ解放されている。バスはどんどん北上し、休戦ラインに近づいているという緊張感がしてくる。途中、学生なども乗り込んできたりしたが、その服装も日本とほとんど変わるものではない。相変わらずシャツは出している。中途半端な素朴さも日本の田舎そのものだ。運転手も客と気楽なやりとりをしている。ただ、この辺も激戦区だったのだろう。春川からずっと、ほとんど古い家を見ることはない。とりあえず作ったというような家が多く、そういう点では街は冷たい感じがする。
コジンでは国道をそれ、港までピストンする。港周辺も日本の漁村そのものである。ふとみると港の食堂の前の縁側で、おじいちゃんやおばあちゃんが数人で何かやっている。なんだろう?と乗り出して見てみると、どうも花札のようである。さすが同じ東アジア文化圏である。日帝時代に伝わった日本の花札かもしれないが..。
帰りに時間があれば、秋の童話の舞台(思いでの海岸)である華津浦に行く予定である。そこに行くための分岐にあるチョドのバス停を確認しておく。テジンの街を過ぎ、しばらく行って、13:30バスは海岸線のバスターミナル(地図では、ミョンパ?終点)に到着する。日本円で300円くらいのバス代だからすぐかと思ったが、所用1時間半くらいかかっている。バスターミナルとはいっても、小さな事務所と広場があるだけである。バスが3台ほど止まっていた。統一展望台はすぐ先であるらしい。しかし..リムジンバスはどこに?..不安がよぎる。
2002' 8/24