統一展望台
駐車場のすぐ横にさらに小高い丘があり、そこの上に施設がある。どうもそこが統一展望台のようである。ここで、ここまで連れてきてくれた家族が「ここからは分かれるので、見学が終わったらバスに乗って返りなさい」といった内容を言って(たぶん)一応分かれた。普通の場所と違って、軍施設の中でタクシーはひろえない雰囲気だし、バスといってもどれにどういって乗るのか不安なのだがしかたがない。そんなに大きな公園ではないので、この家族が乗るバスを待って帰ればいいだろう。
百段ほどの階段を上り14:20、統一展望台に到着した。振り返ると南の小高い山には「トンイル(統一)」とハングルで大きく植木で描かれている。統一展望台は白壁の小さな2階建ての建物で、1階はいろいろな資料や物が展示してある。写真を見ると朝鮮戦争のものだとは思えるが、ハングルが読めないので、何のことか分からない。ということで、パンフレットを1枚取ってさっさと2階に上がる。
2階は展望室で、ガラス張りの窓からは北方の展望が開け、海金剛が見えている。室内は、北に向けて段差のついた座席が並んでいて、双眼鏡やそこから見えるものについてのさまざまなパネルがある。特に正面のパネルは幅4mもあって、見える景色に白色と赤色で地名が記してある。どうも白色が韓国で、赤色が北朝鮮のようである。
女性の職員が長い指示棒でその写真を指しながら、力強い語調で説明している。しばらく説明を聞いていたがやはり分からないので、まずいかなとは思ったが、南北が分かるようにそのパネルの写真を撮った。ところが、室内での撮影のためにストロボが光ってしまった。気づいた女性職員は、こちらをキッとにらみ何か注意している。言葉は分からないが、内容は予想できるので、すぐにカメラをしまった。
2階から外に出るとほとんど360度の展望が開ける。1階にも屋根つきの展望ベランダがあり、日本でも昔、観光地に必ずあったメダル刻印機がずらりと並んでいる。遠くの金剛山は雲に隠れて見えないが、鉄条網の続く海岸の向こうに海金剛の露出した岩峰が生々しい。この辺には地雷も多く埋められているそうである。
展望台の西には(平和の?)鐘、東には与願印の大きな如来立像、南側の広場にはムスタング戦闘機と迷彩色の装甲車が展示してあり、売店もある。統一展望台の建物を出ると、さすがにお腹が減っていたので食堂に入ったが、家族を見失うかも..思って出た。階段の降り口の売店で700wのアイスを買って、なめながらしばらく待つ。
しばらく待ったが、ここでぼんやりしているのも何だから、下のバス乗り場のある広場に降りる。食堂の前にはバス停があって、それを見ると約10分後の15:00にバスが出るらしい。その次のバスは4時30分?くらいなので、このバスをのがしたらずっと遅くなる。5分前には先ほどの青いリムジンバスが来た。ファジンに行くために、このバスに乗ることとする。しかし、...このバスに乗ったのは、私を除いてもう一人..これだけ観光客がいるのに本当にこのバスで良いのだろうか。
おそるおそる乗って、地図を指しながらチョドに行きたいことを運転手に聞くが、運転手には分からない。まあ、とりあえずは保安公園まではいくだろう。運転手と私の会話がうまくいっていないので、もう一人の客が間に入ってきた。実はこの客(30歳くらいのおちついた男性)は日本人だったのだ。チョドに行きたいことをこの客を通じて運転手に説明してくれた。運転手の話によると、このバスは保安公園までしか行かないので、行きのようにそこからバス乗り場まで歩いて、市外バスに乗り換えていくようにとのことである。
そんなところに何故いきたいのかと聞かれたので、日本名「秋の童話」のロケ地である美しい海岸を見てみたいと言った。出演者のウォンビン等、知っている事を説明したつもりだったが、客も運転手も知らないと言う。このあたりが舞台で韓国でブームになり、今や国際的なドラマであるので、地元ではさぞ知られているのだろうと思ったのだが..。もしかしたらここではないのかも?インターネットで調べたファジン浦という言葉だけで地図からさがしたので..。まあいいや、違うなら違うで。近くには湖もあるようだし、この韓国の北東のはずれの海岸や野山を歩くのも一興だろう。
2002' 8/24