韓国映画題名 |
学習ポイント 個人的評価 |
制作年 |
簡 単 な 説 明 と 所 見 |
スーパーマンだった男(星から来た男) |
☆☆☆ ★ |
2008 |
ハイパワーミステリアス女:チョン・ジヒョンに期待をして観た映画だが、この点では正直期待はずれの作品である。客観的に観ても女性としての魅力は感じられない脇役である。狂気のスーパーマン:ファン・ジョンミンもいくら広い心で観ようとしても肯定できない、まったく生活感のない男である。ただ、映画の半ばで一般の韓国人(程度の知識のある人)なら見えてくる光州事件に展開の期待は移る。結局、光州事件から派生したひとつの悲劇を描きたかっただけなのだろうか。ラストシーン、子どもを抱いて飛び降りようとする男に対し、民衆は何も行動できなかったのだろうか。
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D-Wars |
☆☆☆ ★★ |
2008 |
韓国の架空の伝説が、アメリカ、ロスで開花する。500年前おきに大蛇が龍になるための、その時代の人には迷惑な鬼ごっこがある。今回、鬼がねらうのはサラ。ロスの街を破壊しながら鬼ごっこが終わると、今度は横取り大蛇(善玉らしいが区別はできない)が登場して、化け物対決が始まる。勝った善玉大蛇は、宝玉を手に入れて竜になって天に昇っていくのであった。アメリカでの売り上げが好調で韓国では大フィーバーだったので観てみた。しかし、CG以外ではあまりのお粗末な内容にあっけにとられた。でも、B級映画とすれば、なかなかのできではないだろうか。また、大蛇が現代の都市で軍と戦うシーンのみを楽しむのであれば...。とはいってもCGで子供が遊んでいるみたいなシーンばかりで、ちゃんとしたプロの脚本家と演出家が仕切れば、いい作品になるかもしれない。そして最後は、厳かに韓国の心のメロディー:アリランが流れることからもこの映画の意気込みが感じられる。しかし、この作品で国を背負うのは、ちょっと気の毒である。日本同様、韓国映画も国を代表するような名作がでなくなったなあ。
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私の恋 |
☆☆ ★★★ |
2007 |
皆既日食を迎える韓国でくりひろげられる、4パターンの恋愛エピソードを平行に描いたラブストーリーである。ミラクル女チェ・ガンヒと不器用なカム・ウソンの地下鉄を舞台にした悲恋。酒飲みの指南を通じて展開する女学生(イ・ヨニ)の甘酸っぱい恋愛。ハグ男として6年間の活動の後に帰ってきた万能役者オム・テウンのモトカノへの思い、そして、前妻に未練たっぷりの酒浸りに恋をした仕事の鬼と言われている女の思いを淡々と追っていて、一つ一つはそれなりにいいのだが、一つの作品としては漠然としている。
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M(エム) |
☆☆☆ ★★★ |
2007 |
韓国映画お得意の生死の境でのミステリアス・ラブストーリーである。不慮の事故で逝った女学生(イ・ヨニ)の霊が、スランプのベストセラー作家(カン・ドンウォン)のかわいいストーカーとなる。映像に懲りまくる監督作品なので、少々気合いを入れて観る必要がある。ドラマでは名作女優であるコン・ヒョジンが、どの映画でもさえないのはなぜだろう。さて、素朴な疑問としてちょっと首をかしげるのは、いくら売れっ子作家であっても、いくら悲しい思い出であっても、初恋の相手の顔(そのままなのに)を忘れていたという、この作品の骨組みになっている設定である。カメラファンには懐かしいニコマットが出てくる。
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幸福(ハピネス) |
☆☆☆ ★★★★ |
2007 |
ソウルにあるナイトクラブの派手な経営者ヨンスが、事業の失敗と肝硬変で叩きのめされて田舎の療養所に入院する。そこで出会った重度の肺疾患のウニ(イム・スジョン)と恋に落ち、二人はやがて共同生活を営むようになる。ところが、健全な生活のお陰で健康を取り戻したヨンスに、ソウル時代の恋人と仕事仲間の勧誘がふりかかる。予想通り、ウニを捨てソウルでの生活に舞い戻るが、再び生活は荒んでいく。そうして、どろどろ状態になったヨンスは、孤独死の間際だったウニの病床に駆けつけるといった後悔の?ストーリーとなる。この映画で驚嘆させられるのは、家族にも恵まれていなかったウニが、完璧なまでの韓国版の古典的スローライフの生活様式を完成していくことである。このような意味でアジュマの底力を感じさせる映画である。
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密陽(Secret Sunshine) |
☆☆☆☆ ★★★ |
2007 |
ちょうど私が密陽を訪れていたころ撮影されていたこの映画には、演技派の名優チョン・ドヨンとソン・ガンホ主演ということもあり、かなり期待していた。薄幸の母子が死んだ夫の故郷「密陽」にやってくる。しかし、誘拐事件で最愛の息子を失う。母は紆余曲折の末にキリスト教による「魂の救済」へと導かれていく。しかし、やっと許す気持ちができて、面会した犯人の魂は被害者が許す前に刑務所で神によって救済されていたのである。これを発端に、宗教の不条理に目覚めた精神は、再び切り刻まれていく。この精神と生活が破綻していく母親を、チョン・ドヨンはみごとに演じきっている。さらに、素朴で誠実なおじさん(ソン・ガンホ)が、ひどい仕打ちを受けながらも終始この母親に寄り添う陽光のような姿勢が、もう一つの見所である。素人っぽい映像にも思えるカメラアングルにも、どろどろ状態でのエンディングの好きな?韓国映画の特徴がでている。
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サイボーグでも大丈夫 |
☆☆ ★★ |
2006 |
「JSA」「オールドボーイ」である意味成功した?パク・チャヌクが、アメリカン・ニューシネマの代表作「カッコーの巣の上で」をパロッて制作したファンタジーラブコメである。自分をサイボーグだと思い込む少女と何でも盗むことができると思っている青年が、韓国色豊かな精神病棟内で繰り広げる物語である。イム・スジョンとチョン・ジフン演技はそれなりにすばらしく監督の意図する世界を演じきっており、「カッコーの巣の上で」が本当の名作だと支持される方の感性でなら満足ゆく作品なのだろうが、私には、ちょっと引いてしまう世界である。自分の存在理由を求めるサイボーグ少女は、妄想とはいえ指先から銃を乱射しながら病院の職員だけ?を追い回し執拗に殺戮していく。やがて自分の存在が核爆弾だと結論づけ、起爆のために雷雨の中のピクニックに出発する。
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甘く、殺伐とした恋人 |
☆☆ ★★★ |
2006 |
チェ・ガンヒのもつ、小悪魔的なかわいらしさと怖さをうまく表現した韓国らしい映画である。前半は、初な三十男の大学講師が、自分の住んでいるマンションの階下に引っ越してきた女性ミナに興味を持ち、勇気を振り絞っておつきあいするようになる甘いラブストーリーである。ところが、ミナは殺しによって一財産作って生活をしている反社会的な生活をしていたのである。そのうち、男はミナのもう一つの顔に気づいていく。あれだけの体力差の男どもをどうやって殺しているのかとか、淡々と山に何度も死体を埋めにいくところなど、つっこみどころは満載である。エンディングも含め、半分コメディーとしてみるべきなのだろうが、誰にも感情移入できにくい作品ではある。
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初雪の恋 |
☆☆ ★★★ |
2006 |
好感度の高いイ・ジュンギと宮崎あおいの淡いラブロマンスと、京都の美しい情景を堪能できる、ほとんど京都の宣伝映画みたいな内容の作品である。しかしじっくり観てみると、韓国人のイメージする京都や大和撫子の良い?イメージをふくらまして映画にしたらこんなになるだろうという映画ともいえる。それで、386世代の監督はかと思ったが、結構若いようだ。京都の主な観光地や行事、特に嵐電エリアを丹念に描いている。ヒロインが巫女をやっているのも酒神の総本社松尾大社だし、保津川下りや嵯峨野の奥までもてんこもりにするもんだから、ほとんど情景づくりの映画になってしまっている。陶器制作に関しては、イメージ先行のちぐはぐさもあるが、そんなことが気にならなければ韓日交流展の作品のように淡いイメージで見ることができるだろう。ただ、この作品でキーになっている、お守りに手紙を忍ばせるといった風習は日本人にはないと思うのだがどうだろうか。
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愛しのサガジ |
☆☆ ★★★ |
2006 |
超売れっ子女優にもかかわらず、シリアスものからこのような軽いラブコメ等々広い分野に出演しているハ・ジェウォンには、プロの女優としての姿勢に対して頭が下がる。また、この作品では、一時代、病的とも思えた日本製品、日本キャラに対するアレルギーがみじんも感じられないことに驚かされた。キーになる車は、トヨタ車、持っているバッグはドラえもん、強要されるふりはセーラームーンと、吹き替えで観たら日本映画かとも思ってしまう。まあ映画自体の出来は、暇つぶしなら観ることができるというほどのものだが、予想通りのありがちなパターンのストーリーで気軽に観られる。
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グエムル-漢江の怪物- |
☆☆☆ ★★ |
2006 |
千二百万人以上の韓国歴代最多動員数を打ち立てた2006年一番の話題作である。ホルマリンの違法投棄で生まれた、巨大生物グエムルは、なぜかある日突然、白昼の漢江河川敷に出没して人を襲い始める。そして、怪物の食糧備蓄のためにさらわれた愛娘を助けるために、家族が団結して救いに行くというストーリーである。でもまず、不自然で非現実的な政府の対応に首をかしげてしまう。最後には、怪獣騒ぎが解決していないにもかかわらず、河川敷で行われていたデモ集会の中に人食い怪獣が乱入する。そして、この殺戮現場からは軍も警察もいなくなり、娘の家族との対決になる。軍のロケット弾一発で解決することなのに...。正直いって、見所も何を訴えたかったのかもよくわからない無謀なシーンの多い作品であると感じた。話題性もあるし暇つぶしに観るには最適かもしれない..。
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王の男 |
☆☆☆☆ ★★★ |
2005 |
朝鮮王朝No1の暴君といえば燕山君であろう。この映画は、その燕山君に気に入られた2人の芸人の物語である。例によって、朝鮮王朝史の恥部である燕山君の時代を風刺たっぷりに表現している。といっても、この映画の見所は、妖艶の女形旅芸人(イ・ジュンギ)であろう。また、王のお気に入りの一座となった後、王との微妙な三角関係の中で、命をかけた芝居を打つことになる座長(カム・ウソン)との演技もいいし、ずっと陰気な表情だった王が笑顔を見せたときの表情もすばらしい。
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トンマッコルへようこそ |
☆☆☆ ★★★★ |
2005 |
時は朝鮮戦争のまっただ中、いろいろな事情で南軍、北軍、UN軍の兵士が、ほぼ同時に隔絶した理想郷トンマッコルにたどり着く。一触即発の状態が続くが、村は彼らを優しく包み、村の生活の中で、同じ共同体の仲間となっていく。畑作業、イノシシ退治や草スキーをして楽しく過ごす日々だったが、ついにこの村はゲリラの拠点とされ、UN爆撃隊の目標になる。そして、村を助けるために彼らは立ち上がるのである。2005年度の韓国興行成績第1位に輝いたのもうなずける、観る人の心を癒すファンタジームービーである。
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ダンサーの純情 |
☆☆☆ ★★★ |
2005 |
韓国版「Shall We Dance?」との評判なので観てみた。ライバルの仕組んだ事故で失敗した天才?ダンサーが、再起を図って中国からパートナーとなれる女を呼び寄せる。ところが、手違いで素人娘(ムングニョン)が入国してきた。あれこれあって、送り返すわけにはいかなくなった彼女との間に、愛が芽生えていく。素人娘も、なぜか(猛特訓はあったにせよ)あっという間にうまくなる。しかし再び、ライバルにこの娘も奪われてしまう。かなりがんばったのだろうと思わせる、ダンスのうまさには感心させられるとともに、さわやかな印象の残った作品であった。
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スカーレットレター |
☆☆☆ ★★ |
2005 |
ハン・ソッキュとイ・ウンジュというヒットメーカーによる異色の不倫映画である。殺人事件ばかりか、妻と愛人が二人とも妊娠してしまってどろどろの男女関係で、最後まで血なまぐさい。イ・ウンジュは、この映画でジャズシンガーとして歌を披露しているが、残念ながら彼女の遺作となってしまった。彼女を自殺に追いやった理由は謎だが、この映画の生々しいセックスシーンや血まみれになるシーンが、その大きな原因だとする説が主流である。どちらにせよ、キャスティングの割には、あまりぱっとしない作品である。
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天軍 |
☆☆ ★★ |
2004 |
もろに韓国版「戦国自衛隊」といった作品である。タイムスリップ先は、予想通り李瞬臣将軍の時代である。といっても、日本の「戦国自衛隊」以上に対戦シーンは期待はずれであるが、韓国映画特有のえぐい描写が多い。ノ・ムヒョン大統領の太陽政策時代の映画らしく、朝鮮ナショナリズムプンプンの違和感があり、全体のできとしてはいまいちの作品である。コン・ヒョジン出演のドラマに外れはなかったので期待して観たのだが、大外れであった。
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家族(ファミリー) |
☆☆ ★★★★ |
2004 |
ソ・ヨンウンの「あなたのもとへまた」という私の好きな曲がある。見慣れたそのMVが、映画の映像だと気づいて、さっそく観てみた。さて、この映画の見所は、映画デビューのスエとチュ・ヒョンの屈折した父娘像であろう。どちらもはまり役で、観る方を引きつけるよい演技に加え、映像もそれなりに美しく佳作といえる。ただ、ストーリーがあまりに陳腐なのが残念。よい場面を切り貼りした前述のMVだけで評価すると秀作といえる。しかし、韓国題が漢字語のカジョクなのだから、日本題も素直に「家族」とすればよいものをなぜ、「ファミリー」なんだ。 |
マイリトルブライド |
☆☆ ★★★ |
2004 |
面白いMVにつられて、観てみた娯楽映画である。十六歳の女子高生ムングニョンが、幼なじみの大学生キムレオンと強引に結婚させられてしまう話である。秘密のうちにプラトニックな結婚生活を始めたものの、彼が彼女の高校に教育実習に来るようになっていろいろと問題が起こる。文化祭の巨大絵の制作を手伝ってもらったことから、昔から彼女のピンチには、いつも彼が助けてくれたこと等を思い出し、やがて互いの愛に目覚めていくという、甘酸っぱく楽しい青春映画である。娯楽映画として気楽に観られる楽しい作品である。
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風のファイター |
☆☆☆ ★★★ |
2004 |
ヤン・ドングン演じる、極真空手創始者大山倍達伝である。日本では、梶原一騎原作の劇画「空手バカ一代」で知られているが、これはあまりにも非現実的な肉付けがなされていることでも有名である。大山が在日韓国人であることはあまり知られていないし、彼も公表していないと思われる。この作品では、韓国風に着色されているので、劇画とは内容がかなり違い、別人のようである。しかし、彼が武者修行をしていた頃の感じは、ヤンドングンの野性味あふれる演技で十分伝わる。ただ、やはり日本人の役を、韓国人がするのはあまりに不自然である。
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力道山 |
☆☆☆ ★★ |
2004 |
力道山については、彼が在日韓国人であることは有名である。また、彼は当時の英雄でありながら、狂気とも思える粗暴な面を持っていたことでも知られている。力道山は格闘家のため、当然かなり激しいファイトを演じなければならないが、名優ソルギョングは、その英雄と狂気の人の両面ともに、かなり忠実に彼の半生を演じている。当時のプロレスの興業には、ヤクザとの関係が重要だったといわれるが、それも含め、周りの日本人の俳優も優れた演技を見せている。
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箪笥 |
☆☆ ★★ |
2003 |
郊外の一軒家の古い洋館に、姉妹(イム・スジョン&ムン・グニョン)が帰ってきた。そこに住んでいたのは、父と義母で、その日からこの家にはいろいろな怪奇現象が起こる。妹が死に、血なまぐさい事件が起こる...。ところがこの映画は、現実も幻想部分も同じように流すので、結局誰が誰で、誰が死んで誰がいたのか混乱してしまう。というより、いろんな解釈ができてしまう。まあ、結局のところは全てがイム・スジョンの夢物語と思って観よう。ホラーは好きではないのだが評判なので観てみたが、少々がっかりした。推理ものの好きな人以外には、ただの訳のわからん映画であろう。
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僕の彼女を紹介します |
☆☆ ★★★ |
2004 |
元気者の婦警(チョン・ジヒョン)が犯人と思って取り押さえた男は、女子高で教師(チャン・ヒョク)をしている男であった。それが縁で、彼女に付き合わされて数々の事件に巻き込まれていく。これは、まさに何でもありのアクション娯楽恋愛劇とでもいう他ない。最後のシーンでパロッているように、内容は「猟奇的な彼女」の別バージョンであろうか。よくもまあこれだけとも思えるてんこ盛りの演出を、スピード感あふれるカメラワークで追っている。..が、さすがに風になったチャン・ヒョクあたりになると、少しうんざりしてくる。彼の軍役免除疑惑がもう少し早く明るみに出ていれば、どうなっていただろうか。
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太極旗を翻して(ブラザーフッド) |
☆☆☆☆☆ ★★★★ |
2004 |
朝鮮戦争は、多かれ少なかれ韓半島に傷跡を残した。特に最も残虐な殺し合いであったDMZの線引き直前の押し引きの戦闘シーンが、本作品の見どころである。そこで、北へ亡命した?チャンドンゴンと弟のウォンビンが出会うのである。この作品は、戦略面の是非を問わず、朝鮮戦争を兵士の立場で描いた点に魅力がある。また、ここでも、生きるためにアカの供給う受けたとして惨殺される悲劇の女優イ・ウンジュも見逃せない。日本で知名度の高い豪華キャストでうまく売り込むためと思われるが、日本題の「ブラザーフッド」は、映画のテーマに沿った韓国題とはかなり違うイメージになる。
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オールドボーイ |
☆☆☆ ★★★ |
2003 |
狂気の男の低俗な趣味のために、突然に訳も判らないまま十五年間監禁された男の悲しい物語である。カンヌ映画祭審査員大賞受賞で、世界的に有名?になった作品だが、健全な作品とはいえない。同名の日本の劇画のアイデアをもとに、えぐいシーンや近親相姦を加味して、完全に韓国映画に仕立てている。不自然な娘との出会いについては後でわかるにしても、主人公があまりに強すぎる。とにかく腹にもたれる作品である。
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二重スパイ |
☆☆☆ ★★ |
2003 |
東ベルリンから西へ亡命した北朝鮮の工作員ビョンホは、韓国の国家安全企画部の信用を得て、放送局の女性アナウンサー、ユン・スミに接触する。スパイであった彼女と恋に落ち、悲劇へと話は進む。J南北のスパイ合戦の現実の中で、いかにもありそうな題材である。SAに続く大作との鳴り物入りで封切られた本作であるが、恋愛もアクションも中途半端で、映画の山場が見あたらない。あえて言うなら、バスルームでの告白と、運良く国外脱出できた一連のアクションが見せ場なのだろうか。ラストシーンもいまいちだ。
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シルミド |
☆☆ ★★★ |
2003 |
金日成暗殺計画の工作部隊の反乱事件を描いたドキュメンタリー?映画である。1960年代末に戦士としてシルミ島というに集められたいわくつきの男たちは、政策変更で無用の長物?となってしまった。正規の軍ではないこの荒くれ部隊は、力の持って行き場を失って反乱を起こすが、簡単に鎮圧され玉砕した。この悲しい物語をソル・ギョング,アン・ソンギ,ホ・ジュノ,チョン・ジェヨンなどの名優が個性豊かに演じている。南北朝鮮緊張の歴史の側面を知るという意味で断片的にみれば、良い作品である。
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おばあちゃんの家 |
☆☆☆☆☆ ★★★★ |
2002 |
年長者を大切にする儒教が浸透した社会を持つ韓国は、同時にソウル一都市集中と、地方のひどい過疎化(精神的にも)の進む国でもある。この映画は、この時勢の問題と矛盾を、じっくりと表現した名作である。ソウルや釜山しか知らない日本人なら想像もつかない、韓国ではごくありふれた地方の現状が、よく描かれている。ストーリーは、そんな田舎に住むおばあちゃんに、預けられる一人の都会っ子の物語として展開する。名子役のユ・スンホもいいが、まさによぼよぼのおばあちゃんの演技?に心が熱くなる。特にチョコパイのシーンはいい。田舎の人間関係や家族の関係を通して、自分自身の生き方をも考えさせられる。
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恋愛小説(永遠の片思い) |
☆☆☆ ★★★★ |
2002 |
チャン・テヒョンにイ・ウンジュ、ソン・イェジン、ムン・グニョンとくれば、それだけで見る価値有りの映画であろう。前半のキャピキャピ映像にはうんざり気味だったが、後半は、一転して謎が謎を呼ぶ悲愛の物語が展開していく。なお、だれた展開の前半には、知る人ぞ知るニコンF2フォトミックと往年のニッコールレンズ群がが登場!ムム...これはただものではない。後半、イ・ウンジュが構えるのもFM2なのである。ただ、やはり日本題には不満。直訳の「恋愛小説」であればこそ、妹の最後のシーンに意味があるのではないだろうか。
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ラストプレゼント |
☆☆ ★★★ |
2002 |
芽の出ないコメディアンとむりやり結婚した妻が、死の病にかかる。日本でもリメイクされた、感動の名作である。が、後で客観的に考えてみると、どうしてそこまで...という非現実的な点が多い。役者も一所懸命やっているのはわかるが、何よりこの映画のポイントである、ラストプレゼントのコントがおもしろいとはいえない。でも、不治の病の妻に感情移入していれば、そうでもないのかもしれない。
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ソウル |
☆☆☆ ★ |
2002 |
日韓交流のための、日韓合作映画という感じの刑事映画である。逃亡犯を韓国まで護送しに来ていた新人刑事(長瀬智也)は、ソウルで起こった事件の目撃者として滞在することになる。そして、ソウル市警部長(チェミンス)の下で様々な文化の違いを感じることになる。特に、不遜のためにグーのパンチを何度も味わうのは悲惨だ。そのうち息もあって、事件を解決するというわかりやすいストーリー展開となる。でも、ハリウッド作品で地球を救った英雄のような最後のシーンには、ずっこけてしまった。
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猟奇的な彼女 |
☆☆☆ ★★★ |
2001 |
韓国で「猟奇的な」の形容詞を爆発的に流行させた話題作なので、期待して観てみた。でも、大画面でいきなり地下鉄でのリアルなゲロを見て、後の映像も気分が悪く感じられた。期待通りかわいいが凶暴なチョン・ジヒョンと、誠実で気弱な男チャ・テヒョンの個性は、いかんなく発揮されている。展開の早さと意外性、奇抜性、なかなか楽しい娯楽映画である。テーマ曲のMVを見る限りでは感動の名作であるが、個人的には避けたい恋愛関係だ。
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ワニ&ジュナ |
☆☆☆ ★★★★ |
2001 |
キム・ヒソンの魅力がほのぼのと漂う軽いタッチの佳作映画である。江原道らしい春川ののどかな街角で、アニメーターとして静かに生きるヒロイン。そんなある日、弟が帰ってくる。弟への複雑な心情に揺れるヒロインを暖かく見つめるチュ・ジンモ。そんな切ないラブストーリーに時折挿入されるアニメがなかなかよい味を出していて、品のよい映画に仕上がっている。
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春の日は過ぎゆく |
☆☆☆ ★★★ |
2001 |
録音技師のユ・ジテと、ラジオのDJ兼プロデューサーをしているイ・ヨンエが、自然の音を採集する旅をする。そのうち互いは愛し合うようになり、幸せな日々が続く。しかし、やがて破局を迎える。例によって、韓国の振られ男の未練たらしい所行には、正直うっとうしくなる。この映画では、江原道の自然が、情景だけでなく、音を中心に描き出されており、そういう点では美しい映画である。
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チング |
☆☆☆☆ ★★★★★ |
2001 |
70年代の釜山の魅力がしっかりと表現された、ノスタルジック青春ドラマと、ヤクザ映画が合体した秀作である。見所は、学生時代の男の友情と、大人になってからの複雑な現実に導かれた悲劇であろう。全編を通して、ほとんどむさい男だけの映画ではあるが、何度観てもおもしろく悲しい。とはいっても、女性バンドのアイドル:キム・ボギョンの控えめな演技にも印象づけられた。DVD版の日本語吹き替えでは関西弁が選べるが、これがあまりにぴったりで、いい味を出している。
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黒水仙 |
☆☆☆ ★ |
2001 |
韓国の近代歴史映画の多くは、朝鮮戦争を背景とすることが多い。この映画では、コードネーム:黒水仙という女性のトラブルに関わるミステリーである。全編的に暗く、単調で印象にもあまり残らなかった。捕虜の脱走に関するマイナーな題材だからだろうか。巨済島の捕虜収容所展示館には、この映画のでっかいポスターがあったが、そこへ行って少し興味がわいてきた。捕虜がどのように扱われ、どのように生活していたかは、この博物館で知ることができる。
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2009ロストメモリーズ |
☆☆☆☆ ★★ |
2001 |
「安重根による伊藤博文暗殺が失敗したとしたら..第2次世界大戦で日本が勝利し、完全に朝鮮半島を属国化したであろう」という、当時のあまりにも希薄な歴史認識が設定のもとになっている作品である。ただ、「月霊」と「霊鼓台」の秘密、日本情報部の陰謀?を阻止するという突拍子もない展開なので、歴史物のパロディーとして楽しむことはできる。名優共演の日韓合作映画というので、現地で早々にビデオCDを買って日本での上映に備えたが、やはりあまりに矛盾のある内容に、なかなか日本で封切られない。後にひっそりと一部で上映されたというが、(日本語を結構しゃべっているという点で)熱烈なチャンドンゴンファンくらいにしか評価されなかったのだろう。ゆがめられた歴史認識が、他国では認められないという教訓にはなった点で、観てみる価値はある作品だ。
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バンジージャンプする |
☆☆ ★★★ |
2000 |
悲運の女性(悲劇のヒロイン:イ・ウンジェ)とウブな青年(イ・ビョンホン)の悲愛?を描いた作品である。死後の女性の霊が他の男性に同化するというストーリーはではあるが、それを感じた二人の同性愛的な描写には少々きもいという感じもないではない。また、韓国映画の得意分野である、時空を越えた輪廻転生はいいとしても、強引にバンジージャンプに結びつけるのは無理があるように思える。
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JSA |
☆☆☆☆ ★★★★ |
2000 |
韓国ならではの朝鮮戦争休戦後の現実的な問題をテーマとした名作である。南北朝鮮の微妙な立場の違いと、軍事的な緊張がひしひしと伝わってくる。男臭い緊張の場面の多い作品であるためか、酸素のような女(イ・ヨンエ)の澄んだ声のトーンが妙に印象づけられる。今では、必ずしも全国民一致の夢とはなってないようだが、全編を通じて南北統一への熱く悲しい恨(ハン)を垣間見ることができる。特に「チョコパイ」と「最後に対面で向かいあう」シーンはいい。
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リベラ・メ |
☆☆☆ ★★★★ |
2000 |
消防士の炎との闘いを通じて、使命に目覚めていく消防士のお話という点では、名作「バックドラフト」にあまりにも似ている作品である。バックドラフト同様、爆発や燃え広がる炎の演出はすばらしい。さらに、子どものときの虐待が原因で、狂気の放火魔となったチャスンホンの演技が見物である。悪役は悪者に徹して描いてしまうハリウッド映画と比べて、この点では、描く人間像に深みが感じられる。そんな意味で、名作「バックドラフト」を凌駕していると言ってもよい。
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飛天舞 |
☆☆ ★★ |
2000 |
高麗の伝説に基づく韓国お得意の時代劇である。秘伝の書「飛天神記」をめぐり、韓・中・モンゴルの広大な大地で繰り広げられる武侠大河?ともいえる。キム・ヒソンの美しさ、運命にもてあそばれるシン・ヒョンジュンの迫真の演技、韓国式の殺陣もそれなりに楽しめる。しかし、それだけといえばそれだけで、日本人にはあまり印象に残らない平凡な映画なのかもしれない。「アウトライブ」という訳の分からない日本題がつけられているために、この映画を観てみようと思う人は、キム・ヒソンかシン・ヒョンジュンのファンに限定されてしまうのではないかと思う。2008年にSBSが巨額の制作費を投じて、チュ・ジンモとパク・チユン主演で「飛天舞」をドラマ化しているが、評判はいまいちだったようで、もう高麗伝説ブームも過ぎ去ったようである。
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春香伝 |
☆☆☆☆☆ ★★★★★ |
2000 |
あまりにも有名な、韓国の古典の名作ラブ・ストーリー。今まで何度も映画化・テレビドラマ化もされているようだ。しかしこの作品は、韓国口承文化でありこの話の原典であるパンソリ(春香歌)が、ストーリーと並行して流れるといった独特な切り口を見せる。初々しい俳優と、南原を中心とした情景も美しく、あらゆる意味で必見の作品である。パンソリを知らない日本人は、最初のうちは抵抗があるかも知れない。が、あまりにも有名な最後のシーン(水戸黄門の印籠のシーンに類似)には、同じ東洋人なんだな..と感銘を受けることだろう。
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真実ゲーム |
☆☆☆ ★★★★ |
2000 |
1995年に韓国で実際に起きた人気ロック歌手の死亡事件を題材にしたサスペンスだそうである。人気歌手「ハロ」殺しの容疑者である女子高生ハ・ジウォンを、検事アン・ソンギが取り調べていく展開で物語は描かれる。ファンクラブ会長にまでのし上がっていく普通の女子高生の証言によって、華やかな芸能界の矛盾した側面を暴露する。また、あの手この手の女としての揺さぶりに、かみ合わなくなった自分の娘と対比しながら、検事は虚実の言動の狭間で振り回されていく。あまり興味を持たないジャンルの映画だが、韓国のホテルのテレビで何度か観て、ハ・ジウォンの名演技に強い印象を持ってしまい、ビデオを探したものである。
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イルマ−レ |
☆☆ ★★★ |
2000 |
なんとなく非現実的な遠浅の海の上に立つ住居イルマーレ。原題の通り、時空を超えたプラトニックな愛?が夢のように美しく描かれている。特典映像を観ると、リメンバーミーに酷似している点についての弁解の主張があるが、そのアイデアをどう具現化するかが映画の醍醐味なのであるから、それにこだわる必要はないと思う。現在と過去とをつなぐポストや、現実のシーンでのすれ違いなどはなかなか面白い。が、一つ言いたいのは、淡水魚ブラックゴーストを海に放しちゃいけないだろ!
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カル |
☆ ★ |
1999 |
八月のクリスマスに続く、ハン・ソッキュ、シム・ウナ共演の話題作である。人体を切り刻む、訳のわからない殺人事件を軸に、サスペンス・ミステリーが展開される。この手の趣味に興味がある人ならよいのだが、最後まで訳のわからない女と、屈折したお宅のストーカーの話なので、一般向けではない。さらに、真実がよくわからないというのも、韓国サスペンス映画には多いが、少々うんざりする。
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幽霊(ユリョン) |
☆☆ ★★ |
1999 |
韓国版「沈黙の艦隊」に、韓国で出回っている日本再軍国主義化小説をまぶしてつくったという感じの作品である。潜水艦を乗っ取ったいかれた将校(チェ・ミンス)が、小さな軍事観念で、日本の潜水艦をいきなり攻撃するという軽率な判断を下す。さらに、小さな潜水艦の中での殺し合いや、最後には、強制人体解剖まで行うえぐい映像が繰り広げられる。そういうわけで、あまり時間をとってみようとは思えない作品である。
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シュリ |
☆☆☆☆ ★★★★ |
1999 |
ハリウッド作品のような金のかかったセットに、ど派手なアクションとダイナミックなカメラワークと軽快なテンポ、さらに南北対立の国家的な問題を軸とした、スケールの大きい作品で、私自身韓国映画の完成度に驚かされた作品である。韓国の名男優総出演ともいえる、贅沢なキャスティングもいい。私は最初、現地のビデオCDで見たが、字幕もない映像でも十分楽しめた。
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八月のクリスマス |
☆☆ ★★ |
1998 |
ある意味で新しい韓国映画の世界進出の先駆けとなった、プラトニックラブストーリーの名作である。ホ・ジノを名監督にし、ハン・ソッキュ、シム・ウナの人気を決定的にした良い作品ではある。が、客観的に観れば、一見の価値がある佳作にはちがいないが、過剰な評判に値するほど優れた作品であるとは感じられない。余韻を味わわない当時の韓国人のせっかちさに対応した、ハン・ソッキュの歌うエンディングソングのブチ切れにも注目!
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祝祭 |
☆☆☆☆☆ ★★★ |
1998 |
主人公の祖母の人間味のある、ある意味ですさまじい生き方を浮き彫りにしていき、その死から生きることの意味を考えていく名作である。韓国における死と葬儀に関する考え方や、伝統的な様式を知るための最良の教材といえる。高齢での死は、むしろ祝祭であるといった考えは、日本でも共通にある。葬儀に付随する祝宴や博打、親戚どうしのいざかいなど、様々な人間味あふれる場景が、またおもしろい。
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太白山脈 |
☆☆☆☆ ★★★ |
1994 |
韓国南部の麗水や順天から智異山を舞台にし、イディオロギー戦争に揺れる朝鮮半島の近代史を描いた大作である。支配者によってころころ変わる価値観や正義など、混乱した大戦後の韓国の矛盾が、アン・ソンギやキム・カブスの渋い演技によって淡々と語られる。原作は読んだことはないが、素朴な疑問がある。この映画の舞台が全羅南道〜慶尚南道だけに「小白山脈」ならわかるが、題がだいぶ離れた太白山脈なのはなぜなのであろうか。
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風の丘を越して/西便制 |
☆☆☆☆☆ ★★★★ |
1993 |
日帝からの解放後、伝統文化が廃れていく中で、パンソリの技を追求する3人の親子の貧しく悲しく、そして力強い生き方を描き出している名作である。パンソリ道追求と生活苦の中で、父の生き方について行けなくなった息子は耐えきれなくなって逃げ出してしまう。姉は修行に修行を続け、韓国芸術の神髄である「恨(ハン)」を得るために、ついには目までも犠牲することとなる。この姉弟が後に出会って、パンソリを共演する場面があるが、これは単なる俳優の演技とは思えないほどの息をのむ熱演である。とにかくパンソリについて知りたいなら、一度は観ておくべき作品である。
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われらの歪んだ英雄 |
☆☆☆☆ ★★★★ |
1992 |
田舎の学校の陰のボスであるソクテは、学校内では要領よく立ち回り、手強い転校生もついに跪かせてしまう。しかし、正義の若い教師がそのからくりを見破り、彼の牙城は一気に崩れていく。この時代にはやった、李承晩から朴正熙軍事政権への揺れる社会への批判と主張を少年社会を通して表現することでの青臭さも鼻につく作品である。が、単に少年時代の物語と考えれば、秀作であるといえる。崩れゆく王国の主人公:口数少ないソクテに漂う悲哀(特に目がいい)がこの作品の見せ場である。しかし、これだけ名演技(ソクテ)をみせた子役俳優も、以後の作品ではぱっとしない。
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将軍の息子 |
☆☆☆☆ ★★ |
1990 |
言わずと知れた実在の鐘路の英雄、金斗漢伝である。父は有名な抗日ゲリラのリーダーである。金斗漢伝は、京城の中心街の喧嘩王から後に国会議員にまでなる男である。3巻まで観たが、内容は鐘路を中心としたソウルの地元暴力団の抗争史であり、日本人の丸岡警部との交友や、林との対決までの喧嘩王の時代が、生き生きと描かれている。が、有名な父との接点があるでもなく、主人公の人間的な魅力も感じられないのが残念である。
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大怪獣プルガサリ |
☆☆ ★ |
1985 |
今では幻といえる日朝合作(日本が特撮技術を提供した?)の、現在視聴できる貴重な北朝鮮作品である。でも、物語は、乙女の血で生を得た怪獣の人形が、鉄を食べて大きくなり、民衆を苦しめる王をやっつけるといった、お子様向けのものである。ただ、民衆を助ける不死身のプルガザリも、平和がくれば、鉄を大量に消費するお荷物になってくるというのは、風刺がきいていておもしろい。
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