三崎町の自然の変化 

環境委員会 二名津小中学校環境教育合同発表会報告


 私達が住む三崎町は、とてもきれいな自然に恵まれています。だから、環境問題についても別のところのことと思っている人はいませんか。
でも、私達のまわりの自然にもいろいろなことが起こっているのです。私達は、三崎町で起こっている自然の変化について調査して発表します。

 みなさんは環境ホルモンという言葉を知っていますか?
環境ホルモンとは、生物の体の中でつくられる内分泌物質(ホルモン)と似たはたらきをもつ化学物質のことで、例えば自然の中にわずかにあるだけで、生き物のオスがメスになったり、メスがオスになったりして性の異常な成長がみられるというものです。
 私達は三崎高校の金沢先生が、西宇和郡の環境ホルモンについて研究をされていると聞いたので、三崎高校にいって直接このことについて聞きました。この写真がそのときの様子です。
   
調査地区雌が雄になって
いる割合
三崎町二名津    100%
三崎町 松       0%
三崎町 長浜      0%
三崎町井野浦     89%
三崎町大佐田     46%
三崎町 高浦     90%
三崎町 赤坂    100%
瀬戸町 三机    100%
瀬戸町 足成     44%
伊方町 二見     91%
八幡浜市栗の浦    100%
三崎高校 金沢
教諭が平成10
年度に調査
調べた貝の数:
各地区20匹程度
 
 金沢先生の話では、イボニシという巻貝のメスの多くが、このあたりでもオスのようになっていると言っておられました。その結果がこの表です。
 これを見ると、松のように正常なメスばかりのところもありましたが、二名津などでは、正常なイボニシのメスは、今のところ見つかっていません。その原因は、有機スズという薬品で、船の底に貝がつかないようにするために塗っていたものだそうです。
環境ホルモンはわずかな量で、生物の身体に異常をおこす物質なので、人間への影響も心配されているそうです。

 次に、三崎町の自然環境の変化を直接調べにいくことにしました。いろいろ話し合った結果、三崎町にただ一カ所いた野生のメダカがいなくなったといううわさのある阿弥陀池にいくことにしました。
阿弥陀池は、井野浦にある大きな池で、私達はそこで写真のように生き物を探したり水の様子を観察したりしました。

 でもよく分からないので、写真のように阿弥陀池の近くで働いている人に聞いてみることにしました。
その人達の話によると、昔の池は、池の水がとてもきれいで、飲み水としても利用されていたし、夏には人がたくさん泳いでいたとのことでした。
昔の人にとって、阿弥陀池は大切な遊び場だったし生活に直接必要な場所であったようです。でも、今では、池の水もたいへん汚れて、水生生物もほとんどいません。それは池に除草剤などの農薬が流れ込んだり、農薬の残りかすを捨てたりしているからではないかとおっしゃっていました。

 阿弥陀池ではおばちゃんの話でしたが、次に三崎町の大切な資源である魚などのとれる量がどうなったのかを調べました。
資料は、三崎漁業協同組合にお願いして提供していただきました。多くの漁獲量の推移に関する資料があったのですが、ここでは主な海産物について考察します。(なお、提供された資料の具体的な数値資料は三崎漁協の都合で公開できません。)

 まず三崎町でとれた主な魚のうちタチウオやアジは、とれる量はあまり減っていませんが、フグやブリはかなり減っています。サバも減少ぎみです。魚の取り方の進歩も考えると、三崎町周辺の魚は全体的に減少していることは確かなようです。
 次に魚以外の海産物ではサザエだけは増加していますが、他のものはどんどん減ってきています。このように三崎町の海の資源の多くが確実に減ってきているということがわかります。
 このように私達が三崎町の自然についていろいろ調べていくうちに、三崎町でも自然環境が悪くなってきていて、少しずつ私たちの生活にも影響が出ていることが分かりました。
 だから、これからは、もっと自然環境の変化をきちんと調査し、原因を調べていくことが必要だと思います。昔から三崎町のことを見つめてきた生き証人であるおじいさん、おばあさんの知識は、そのためにとても大切なものだと思います。さらにいろいろこれから勉強してこの地域の環境が保全されるために私たちができることを考えて行きたいと思います。
 阿弥陀池の取材を終えた私たちは、井野浦のムーンビーチで美しい三崎町の自然を背景にして夕焼けを眺めながら青春しました。これからも、このような三崎町の宝である美しい自然が保たれることを願っています。


    調査・編集・発表   5313  5303  5305  5311  5312