誇りに思う三崎の漁

 佐田岬半島の先端、三崎町に私は住んでいます。でも、三崎町の漁業についてはよく知りませんでした。
 ある日、三崎漁業組合が作成された「三崎漁師物語」というビデオを見ました。私はそのすばらしさに感激しました。
 初めは春の漁についてでした。春の漁ではアワビやサザエとりが盛んに行なわれていました。アワビやサザエをとるためには海へ深く潜らないといけません。春の漁といってもまだ海の中はとても冷たいのです。そのため、ウエットスーツを着て潜っていました。それでもまだ海の冷たさは感じられます。そんな中でのアワビ、サザエとりは大変な仕事です。海士さんは一回潜るごとに10数個のアワビ、サザエがとれるそうです。海の中はとてもきれいでびっくりしました。
 海士さん達はとれたアワビ、サザエを選別します。大きいものは出荷し、小さいものは海へ返します。少しでも海の資源を大切にしようとする三崎の人達の気持ちが伝わってきました。青い海、青い空、そして、白い佐田三崎灯台。夏の海です。この夏にはウニや天草漁が盛んに行なわれていました。海女さんが重い物を運んでいます。海で生きる女の人は、精神的にも体力的にもすごく強いんだなあ、と思いました。

 アジの一本釣りも行なわれていました。私はアジの一本釣りはカツオノ一本釣りみたいに、豪快なのかなあと思っていました。でも、違っていました。船から糸を一本たらし、釣り糸が速くてびっくりしました。まく糸が見えないくらいでした。あんなに、速くできるようになるには、そうとうの練習があったと思います。なみたいていの練習では絶対できません。また、手で釣り糸をまくから、釣り糸で手や指を切ります。だから、指を切らないようにしっかり布をまきつけていました。漁の厳しさを感じました。長年積んだ経験の後が釣り糸をまくはやさ、また、いろいろな漁師さん達の工夫に、表れているのが分かりました。

 次に夕日がきれいに見える秋です。秋の漁はイセエビ、ハマチ、ブリ漁が盛んでした。イセエビが網にからまっているのが大変そうでした。それを一つ一つ丁寧に取り出す作業をします。また、船の上の作業だから大変です。私は、船に乗るとよく船酔いをします。漁師の人達が、平然として船に乗っていたので私は驚きました。また、その上で仕事をするということは私には信じられませんでした。でも、漁師さん達もきっと初めは苦労したと思います。これもやはり経験を積んでいるのだから大丈夫なのだと思います。経験というものは大切だなあ、と改めて思いました。

 イセエビが丁寧に取り扱われています。三崎の漁師さん達は、海の資源を大切にするのです。また、商品に傷をつけては、その商品価値が下がります。それで大事に丁寧に扱っているのです。気を長くして、網をのけていかないと絶対できない仕事です。また大がかりな漁なので、家族みんなが船に乗らなければなりません。すごく大変だなあと思いました。
最後は、冷たく強い風の中での冬の漁です。フグ漁が盛んに行なわれていました。私が魚釣りに行ったときは、フグも釣れます。でも、串の沖の海で釣れるフグは大ききて比べものになりません。漁師の人達はフグを釣った後、フグの歯を折ります。これはフグがお互いにけんかをして、傷がつくからです。冬の漁はとても荒れています。それでも、やはり生活がかかっているので、海に出なければなりません。危険をおかしてでも漁に出ないといけないので大変です。

春、夏、秋、冬と通じてビデオを見てきた中で、私はこの三崎の漁師の人達は取れた海産物を丁寧に扱っていることに関心しました。海産物は取れば減るわけで、そのためには小さな資源も漁師の人達にとっては大切なのです。海に生きる人々は男であれ、女であれ、それぞれの仕事があります。女の人も、男の人に負けないくらい働いています。

今、三崎に住む漁師の人々は後継ぎ問題に困っています。ただでさえ、三崎の人口は少ないのに、後継ぎがいないということは大変です。ぜひこのビデオを見て、漁師の誇りを知ってもらい、多くの若い男の人達に漁師の体験をしてほしいなあと思いました。
そして、海と共に生きる三崎のすばらしさを知ってほしいと思います。海を大切にして、海の資源を大切にして三崎の漁を、私は誇りに思います。


  出典:二名津中学校 平成6年度 生徒作文(4816),編集:いちご(5118)