伽藍山は多くの常緑の広葉樹におおわれた美しい山でしたが、平成8年、山頂一帯に愛媛県の自然公園として大規模に手が入れられ東屋や野鳥の池、砂防ダム、遊歩道などが整備されると共にかなりの自然林が伐採され、その代わりにさまざまな公園木が植樹されました。また、観音堂のあったエリアにさまざまなの畑やキノコ栽培園、果樹園のほか炭焼き窯などをもつ体験農場も整備されました。 県立自然公園地図
しかし、風をまともに受ける独立峰のため、植樹された木々はかなりなぎ倒され、遊歩道も利用者がほとんど無いのでしばらくは整備していましたがやがて放置されるようになり、森に埋もれてしまっています。このとき整備された舗装路も地盤が歪んで陥没している場所も多く運転は気をつける必要があります。税金の無駄遣いでないかと思える自然公園となってしまいましたが、この半島で最大規模の山域を持つ山でもあり渡りの鳥やこん虫にとっては重要な山でもあります。これらのことを十分考慮して開発がなされてほしいです。
さて、山名や地図でも分かるようにこの山はさまざまな民間宗教の聖地としての側面を持っていて山全体にさまざまな宗教施設や石仏が分布しています。その中心地は写真の釈迦ノ洞といわれる大きな岩の割れ目で、その一帯は崖や水場等が集まり石仏が乱立しています。ここを中心に三崎地区からは麓の傳宗寺からミニ四国88ヶ所が、そして山頂を巡るミニ西国三十三ヶ所の霊場を表す石仏が混在していて、覗き岩等の山岳宗教色の濃い修験の場もあちこちにあります。
しかし、道路工事などの際に石仏をさまざまに動かしているようで、これらが設置された当時の人が全て亡くなり正確な資料もほとんど残っていませんので、それぞれどのような宗教行事が行われていたかを知ることは困難になっています。
そんな中、観音堂の行事と思われる行事が4月初旬に伽藍祭りという名で本三崎の行事として今も行われています。その際、傳宗寺は釈迦ノ洞の上の大岩に設置された子安大師といわれる観音仏の前での写真のような行事を行います。
また、青年団の企画で観音堂前の広場では子ども相撲が開催されさまざまなお接待もあります。三崎ではこのような山中のお堂ででの
お籠もりや相撲大会などの行事は各地で行われていました。この地図のすぐ北にある松〜三崎道の最高地点にはつん越え様という弘法大師像を祀るお堂があって松地域のお祭りが毎年行われていました。現在ではこのような山岳祭りは三崎地域では伽藍祭りだけになってしまいました。そんな伽藍祭りの各行事も形骸化していく傾向にあります。