しかたなく、みんなは草刈りをやめて帰ることにしました。
ところが、おはるという娘が
「わしゃ、まだ帰らん。」
と草刈りを続けています。
そこで、みんなが
「はよ、いなんかな。」
と言っておはるをせかしましたが、おはるは頑張って草を刈っています。
ひどい雷雨なので、みんなは説得をあきらめて帰ってしまいました。
あくる朝、おはるがまだ帰ってないというので、その草葉へ行ってみました。
すると、おはるは雷にへそをとられて倒れて死んでいました。
そこでみんなは、
「おのれん、一緒にもどらんけん、そんなばちがあたったんやのう」
と口々に言いました。
それから後、その草葉のある場所の名前を「おはる谷」と言うようになりました。
今だに松の人はそこを「おはる谷」と呼び続けているそうです。