やがて、修理が終わる約束の日が来たので、寺の総代二人がそろって仏具屋に取りに行きました。
ところが、三体のそっくりな阿弥陀様が並んでいるではありませんか。
どれが慈照院のものか総代にはわかりません。
仏具屋もこれは困ったものだと思ったそうですが、どうすることもできません。
そこで二人の総代は、三体の阿弥陀様の前で手をあわせておがみながら、
「なんとか、どの方が慈照院の阿弥陀様でござりまするか、教えてくだされ。」
と言ったそうです。
すると、一体の阿弥陀様の目がぱちぱちとまばたいたのです。
そこで、目がまばたいた阿弥陀様を持ち帰ったということです。
なんと、ユ−モラスな阿弥陀様でしょうか。
今なお、その阿弥陀仏様は村人達の信仰の的になっているのです。