ぶ つ さ ん

 昔、ぶつという少し知恵の足りない人がいました。
ご飯を炊いていたら「ぶつ、ぶつ、ぶつ」という音がします。
ぶつという人が自分の名前を呼んでいると思い、その音に合わして「よい、よい、よい」と返事をしました。
しかし、いくら返事をしてもいっこうに返事がないので、はがまをひっくりかえしてしまいました。
そのためご飯が食べられなくなってしまいました。

 今度は、ぎょうせんつぼを持って来いとおばあさんに言われてもってきた時のことです。
おばあさんがつべ(つぼの底)を持てと言ったのですが、ぶつさんは自分のつべ(おしり)を持ったので、ぎょうせんつぼは地面に落ちて割れてしまいました。
 そこで、おばあさんがぶつさんをおこりました。
ぶつさんは腹をたて、おばあさんをひばちでなぐってしまい、おばあさんは死んでしまいました。
それで、和尚さんを呼び、お葬式を出しました。
それが終わってからのことです。和尚さんがお風呂に入りました。
少しお湯がぬるかったので、「そこらのもの、そうでて(かき集めて)くべてくれ。」と言いました。
そうしたらぶつさんは和尚さんの衣から下着からなにもかも、くべて燃やしてしまいました。
 和尚さんがお風呂から上がり「ぶつよ、わしの着物知らんかい。」とたずねたら、ぶつさんは「そこらのもの、そうでて、くべてくりゆうけん、くべてしもたでな。」と言いました。
和尚さんは泣く泣くつわの葉でかくして帰ったということです。


  出典:二名津中学校「郷土の昔話」・・・平成2年度 堀内キソ(二名津74歳)伝,編集:シタ(5222)