雨 乞 い

 昔は水道がありませんでした。
そこで、水不足になると、二名津と名取口の峠にある現在の船山ドライブインの裏山を登り、頂上の広場で雨乞いをして、神様に拝んで雨を降らしてもらっていたそうです。

 名取には岡・峰・里の三つの部落があって、順番に雨乞いをしました。
一つの部落がしているときには、残りの二つの部落の人は周りに座っていたそうです。
「雨をくだされ、りおんどう。」
「雨をくだされ、りおんどう。」
と、何回も何回も大きな声で、輪になってぐるぐる回っていたそうです。
天まで届くようにと大きな声でおらんでいたそうです。

 山の頂上で大きな声を出していたので、それを聞いた二名津、釜木などの他の部落も雨乞いをするようになったそうです。
 その強い願いがかなったのか、雨乞いをすると数日後には雨が降っていたそうです。
いくら忙しくても、子どももつれてみんなで雨乞いをしに行ったそうです。

 そのうち自動車が通うようになった頃には水不足のときは「車で水を運べばよい」と言う人が増えだしました。
そのうち若い人たちが雨ごいをすることに意味を感じなくなって、だんだんこの風習はなくなっていったそうです。
なくなったころは、水は車ですぐ運べるので、人々はよく働いていたそうです。


  出典:二名津中学校「郷土の昔話」・・・平成2年度 川名ミヨ子(名取67歳)伝,編集:MARA(5313)