ガラスとのんべい

 昔あるところにのんべいさんがおって、山に1人でみかんとりにいっておったんと。
のんべいさんが草っぱらにねっころがると、頭の上でカラスが鳴いたんだろうな。
「ゴウゴー、ゴウゴー」と。

じゃが、のんべいさんにはこう聞こえたんだ。
「ごんごごう、五合(五合とは一升瓶の半分)」と。
のんべいさんはだんだん腹がたってきて、
「五合じゃ足りん。一升持ってこい」と叫んでしもうたんと。
そこでカラスは、「アホー、アホー」と飛んでいってしもうたとゆうことじゃ。


  出典:二名津中学校「郷土の昔話」・・・平成3年度 村中恵美子(名取46歳)伝,取材:(4517),編集:(5407)