空港から海岸へ向かう
税関を出て、10万円をwに換え、待合室で荷物の整理をする。屋内の待ち合わせ場になんか石に3本の棒を通した柵のようなものがある。ジョンナンである。このジョンナンとトルハルバン(石のおじいさん)は、済州のシンボルであるらしく、これからも行く先行く先で出会うことになる。
荷物を整理すると、これからの行動計画を練る。まず、案内所に行って漢拏山が登山可能かどうかの確認だ。2003年度版の日本の案内書では、頂上部の登山は禁止されていると書いてあるからだ。インターネットでもどうしてもその確認ができなかった。登山できないなら、この旅行の目的を大幅に変える必要がある。日本語もおおよそ通じるみたいなので、漢拏山に登りたいことを言うとパンフレットを持ってきて、「西登山道の霊室コースとオリモッグコースは、登山規制があること。北からの観音寺コースと東からの成板岳コースも登山規制があるものの、12月〜2月の間の積雪期には頂上への登山ができる。」と言う。案内は、バスの通る成板岳コースを進める。ただし、6時から9時までに登山を開始しなければならないらしい。ただし問題はこの雪である。海岸線でこの雪なのだから、1950mの漢拏山は予想以上に豪雪かもしれない。それは明日、国立公園管理局に問い合わせるようにとのことである。
ということで、予定通り登山中心の旅とする。空港を出ると、早速トルハルバンのベンチがあり、その横には屋根に溶岩を満載した公衆トイレもある。さらにその前にはミカンの並木が続く。韓国では空港や港湾などの写真撮影は禁止だったとも聞いているが、そのあたりから、バシバシ写真を撮っても見とがめる様子はない。いかにも観光の島である。
空港から済州市の方に少し歩くと道路沿いに古代の民家らしい建物が見えてきた。そこは、竜澤洞遺跡らしく、英語とハングルで書かれているので詳しくは分からないが、このあたりで発掘された遺跡から、当時の住居を再現したものらしい。結構広い住居と高床式の蔵らしき建物がある。発掘の様子の写真も提示してあり、ここもこの島の見所なのかもしれないがるが、私の他には誰もいないし、通りかかる人も足を止める様子もない。
今日は済州市泊まりだから時間はたっぷりある。私は空港の塀に沿って海岸線を目指す。しばらく歩くと空港を取り囲む塀の角には監視塔がいくつかあり、中には自動小銃を持った軍人が立っている。柵の上には有刺鉄線がぐるぐる巻かれており、物々しい雰囲気である。さすが韓国である。観光の島済州も軍事上は重要な地点である。
やがて海岸が見えてきた。雪が舞っているせいかもしれないが、このあたりにはほとんど人気はなく、ぽつんぽつんと果物屋や海産物の土産物屋がある。結構風もあり、冷えてきて、明日この格好で無事漢拏山に登れるのだろうか不安になってきた。
海岸線は、黒い玄武岩質の溶岩の海岸が続いている。そして海岸の道沿いには、店頭に水槽を並べた海鮮料理の店が並ぶ。韓国の刺身は、生け簀(水槽)の生きた魚を注文を受けてさばくのが常識らしい。だから、他の料理と比べてとんでもなく高い。生きのいいぷりぷりした新鮮な刺身もいいのだろうが、私はしめて1日くらい置いた刺身の方がおいしいと思う人なので、韓国風海鮮料理は不経済なだけだ。海岸線のこのような店は観光客相手の高価な料理を出す店としかみえないので、遠慮する。実際、観光案内を見ても一食3000w〜5000wが常識の韓国で、日本感覚では大したこともないとはいえその10倍もの食事をするのはばかげた成金趣味だ。おそらくこの島には魚介類の味と栄養を引き出す庶民料理があるはずである。
H14.12.26-3