慶尚南道 汽車の旅
汽車は昌原(チャンウォン)市にさしかかる。この街は、歌の影響で、春になれば花々の咲き誇る里のとなる美しいイメージがある。駅は市街ともかなり離れているようでもある。この昌原を過ぎてしばらくするとそろそろうんざりし始めた山また山の風景がやっと開け、大河、洛東江(ナクトンガン)が見えてきた。
しばらく右岸を走っていたがついに洛東江を渡る。鉄橋の両側には六角形の監視小屋があって、写真のように警備員が仁王立ちになって列車を見送っている。そのまま左岸を沙上あたりまで走るのである。川に沿って大規模なビニールハウス群が続く。
5時を過ぎると、日ももう傾いてきた。丸一日かかった汽車の旅ももう終わりに近づいている。感傷的な場面だが、日本語で大声を上げてまくし立てている電話をするアジュマのおかげでムードはぶちこわしである。この辺の山は山頂部分の岩肌が露出しており、夕日に染められてなかなかの形相である。
釜山に近づくと、高層アパート群が目につくようになってきた。亀浦あたりからはその数は半端ではない。山腹にまでビル群は進出し、独特な景色を作り出している。トンネルを抜け、四面のロッテホテルが見えだしたら、釜山駅は近い。釜山駅の手前の釜山鎮で半数近くの人が列車を降りる。
17:35列車は黄昏の釜山駅のプラットホームに滑り込む。執着だけあってせっかちな韓国人もゆったりとしているみたいに見える。ソウル駅は旧駅舎を残したままガラス張りの立派な建物になったが、釜山駅も改装中であるが、駅ビルとしては最も壮観なものとなるようである。駅前の広場は広いが、商店街があるわけでもないので、それほど人がいるわけではなく、公園を歩いているようだ。ここまで変化の激しい旅が続いていたので、温泉にでも行くことにしようと思っていた。釜山には、郊外?に有名な温泉の街、東莢がある。今日はそこで泊まり、そこから明日、裏山の金井山を目指そうと考えた。ということで、釜山駅前広場を横切り、地下鉄駅に向かう。
H14.12.30-4