海雲台の初日の出
7:40前、ちょうど海岸に着いたとき、群衆で埋められたビーチ全体がどよめいた。そして、花火が上がるとともに、浜全体に歓声があがる。なかなか壮観な光景で、写真のように赤い朝日は浜全体を照らす。人垣を縫って、やっとの事で砂浜にたどり着く。不気味な羊の巨大な首が掲げられる浜には、音楽が鳴り響き、大きな風船に繋がれた旗が空に舞っている。見ると浜の向こうからこっち、そして西の海岸の磯の上、ビル群の窓という窓、ベランダというベランダまで、人、人また人である。いったい何万人この浜に集まっているのだろう。さらに、沖には旗を閃かせた漁船が走りまわり、ヘリが飛びまわってまさにお祭り騒ぎだ。写真のようにKBSの放送車も堤防の中央に配置して、しっかりTV中継もしている。
しかしこの初日の出の興奮は少しの間であった。やがて、やがてみんなは潮が引くように列を成して引き上げていく。熱しやすく冷めやすいせっかちな慶尚道の人々にとって、日の昇ってしまった浜は、朝飯の前の冬の寒い砂浜にすぎないのであろうか。とはいっても、空いてきた浜で余韻を楽しむ家族連れやカップルもいるにはいる。彼らは、朝日を背景に記念写真を撮ったり(この明るさなら逆光で真っ黒になるだろうが..)、波と戯れたり、これが本来の冬の海雲台海岸なのだろう。KBSドラマ「止められない愛」の一場面の海雲台を想像するのであった。私はほぼ中央にいたのだが、人もまばらになってきたので、ビーチを東の端まで歩いてみることにする。
浜の東端は、浜が狭まり石がごろごろしていて、何のためか海中へロープが張ってある。ビーチもだいぶ空いてきている。堤防にある階段に座り、海を眺めながら朝食のキンパプを頬張る。すぐ前の船着き場からは客を満載した観光遊覧船が出て行く。さて、これから何をしようか。ビルの建ち並ぶ韓国随一のビーチも私にとっては、人工物で汚染された浜にしか見えない。釜山の地図を見ながらいろいろと思案してみる。地図を見るとここにも温泉があるではないか。さらに射撃場もあるはずだ。
海岸道路にあがってみると屋台が数軒もオープンしている。ネタはスラとポンテギとオデン(練り物だけのおでん)である。これだけの人出が確実にあるのに、そういえばあまりにも屋台が少ないではないか。早朝とはいえ、それなりの商売をすれば結構儲けるとは思うが..。耳をすますと聞き覚えのある音楽が聞こえてきた。「故郷の春」である。聞こえた方を見ると、ホテルの下にセブンイレブンがあって、その前の広場のようなところで、子供が20台ほどの電動ミニカーに乗って遊んでいる。のどかな光景である。
一端、駅に帰りながら、この街の様子を観察しておこう。その途中で海雲台実弾射撃場の表示のあるビルを見つける。早速射撃場に行ってみるが、9:00オープンだと言われたので、今度はこの近くにあるはずの温泉を探す。お風呂好きの韓国人なら正月の朝風呂の文化もあるだろう。
H15.1.1-2