福岡空港から仁川へのフライト
地下鉄駅を登ると、すぐ福岡空港である。しかし、ここは国内線である。そこから無料シャトルバスに乗って、国際線ターミナルに向かう。結構な距離で、歩いていけるようなものではない。国際線まで地下鉄をのばせないものなのか。
チケットを持ったユン氏との待ち合わせ時刻は8時半で、まだ1時間もある。トイレを済ませて売店に行く。「韓国旅行会話ハンドブック」という青いビニールカバーのポケットに収まる本を購入した。以後この本がこの旅行の最も頼りにするパートナーとなる。1階には、女子高生の団体が大きなボストンバックをもって集合している。淡いピンクのセーラー服であるが、ヤンキー座りやあぐらをかいて地べたに座る者も多く、とても大和撫子として海外に紹介したい輩ではない。この頃では、高校生は海外への修学旅行も多くなり出したようだ。
ユン氏と待ち合わせは、大韓航空のチェックインカウンターとなっているが、どう見てもそこに入るのには、荷物検査を受ける必要がある。個人での海外旅行は初めてなので、全く手続きの段取りがよくわからない。でも、そのうち放送があり続々とその検査入口に人が集まりだした。すぐに長い列となってどう見ても8:30までにカウンターに入るのは不可能となってしまった。とりあえず列に並んだが、8:30になってしまったので、ユン氏の携帯にかける。すると、もう着くということである。10分位すると携帯が鳴り、それに出ると、すぐ後にユン氏が立っていた。
荷物のチェックを受け、カウンターに行くように支持を受ける。チェックを受けてカウンターに行くと、ユン氏は荷物を団体用のゲートから預け、その預け票とともに搭乗券と帰りの船の切符、そしてサイン以外の部分を記入した入出国カードを手渡した。ソウルのホテルは名前を言えばすぐ分かるようになっているいうことだった。しかし、入出国カードを見ると、職業は「会社役員」...。肩書きを重視する傾向のあるらしい韓国に行くには、このくらいが一般的なのか..そんな歳でもないのだが。
韓国での旅行場所についてユン氏は尋ねた。束草から雪嶽山、五台山へ向かうと言ったら、日本人なら近くの襄陽での松茸狩りがいいよと言っていた。今日のソウルは雨だそうだ。どうもユン氏は私が依頼した同じJTB系列の会社の従業員らしい。
財布やデジカメなどを小さなトレイに入れ、セキュリティチェックを受けた後、出国審査を受ける。その後、待合室で、旅行案内書「個人旅行韓国」を開き、韓国入国の段取りを必死で読む。やがて放送があり、57番ゲートから青い大韓航空のジャンボジェットに搭乗した。
747にははじめて乗るが、やはり飛行機のエコノミーは狭苦しい。自分の席は、残念ながら外はほとんど見えない中央座席、スクリーンのまん前である。通路側なので、まだ何とか耐えられる。
この機のスチュワーデスは、おそらく韓国人ばかりで、日本語もたどたどしい。アナウンスは英語とハングルなので、いよいよ日本を出たんだなと実感する。やがて機は離陸滑走路に向かい、一気に加速する。遊園地の乗り物は対して怖くもないが、飛行機の離陸加速のGと、離陸のふわり感は好きになれない。やがて旋回する窓から福岡の町が見えたかと思うと、グングン高度を上げていく。高度が安定し、徐々に機内の気圧も下がってくる。腕時計の高度計を見る。以前ソウルに行ったアシアナ機では、高度で1400m程度の気圧に調整されていたが、このジャンボでは1200m程度である。目の前のスクリーンには、高度と速度、到着までの時間がハングルと英語、mとFtで表示されていた。
ソウルまではひとっ飛び、やがてスチュワーデスはあたふたと機内食の準備に取りかかる。ソバとサンドイッチ、ゼリー、スープといった内容だったと思う。訳の分からない私を見てスチュワーデスは座席の肘当てから引っ張り出して小さなデスクを作るが、これがなかなか素直に出てくれない。機内食は何のために出るのだろうと私はいつも思う。わずか1時間ほどのフライトで、経費手間など考えたら無駄にしか思えない。ましてや着いてすぐ、ソウルで何を食べようかと思案しているのに..。出されるものを残したくない私にとっては、中途半端な食事は迷惑この上ない。また、いつまでも膳が目の前にあって、読書もできにくいので、下げてほしいのだが、目の前が作業室なのだがスチュワーデスは忙しく立ち回っていてなかなか言いだしにくい。やがてスチュワーデスは飲み物を聞いてきた。私はこんな窮屈な場所で飲み食いするのは苦痛なので、断ったが、隣の男性がコーヒーを注文した。紙コップにコーヒーを入れ、お盆にのせて持ってきたスチュワーデスはしっかり私の膝にコーヒーをこぼしてくれた。おまけに彼女は気づかなかったので、謝りもしない。もし気づいても、まさか「ケンチョナヨ」で済ますってことはないよね。私は次回からは、時間の無駄である機内食は断じて断ろうと思ったのである。やがて機は仁川の上空を旋回しだした。この永宗島は、ほとんど見渡す限りの草原という感じである。こんなところに国連軍は上陸したわけだ...。