江陵到着

 再び江陵総合バスターミナルに到着した。今日はこの江陵で泊まり、明日は鉄道で釜山まで行き、本などのメディアを買って帰国するという予定であった。時間的に余裕があるなら慶州にもよれる。まずはバスターミナルから出て、宿泊場所を決める。今日は登山の疲れをとるためにゆっくりとしたいところだ。案内書でみると、パーク荘旅館が紹介してあるので、とりあえずそのあたりに向かうこととする。
 ところが、分からないのである。日本の案内書の地図にはバスターミナルの位置が書かれていないので、五台山登山地図の後ろの江陵市街地図を見るのだが、それによるとバスターミナルは、駅近くの旅館街の目の前にあるはずである。パークホテルもそのはずだが...。しかし、山や道の方向、方位にもかなり食い違いがあるし、しばらくそのあたりを行ったり来たりしてみるが、地図にある建物が全く見つからない。どうも現在地が違うのではないか?と考え、バスターミナルの交通整理のアジョシに地図をみせて、現在地を聞いてみた。2人のアジョシは、地図をくるくる回しながら、あーでもないこーでもないと議論していたが、結局、現在地を見つけだした。何と言うことだろう。街の中央と思っていたバスターミナルは、街の西のはずれの高速道路ICのすぐ近くではないか。そういえば、そこにもバスのマークがあって「カンヌンジョンハポスタミナル」と書いてあるではないか。それでコンパスをあわせてみると、道の方向もぴたりと合い、駅そばのバスマークが2つある所だと信じていたことが馬鹿みたいに思えた。
 とはいっても、時間はたっぷりある。ゆっくり歩いて、駅のそばの旅館街(1.5kmくらいか?)に行くことにする。ほとんど限界に近い足を引きずりながら、とりあえず道路沿いに北東に歩く。特別かわった通りではない。やがて目の前に道を横切る高架の鉄道が見えてきた。これで、現在地と地図の同定は、ほぼ完璧になった。最初間違えたバスターミナルと思ってた所に来てみるとそこは、今はほとんど更地と駐車場になって、ほとんど使われていないようだ。
 そして、旅館街の路地にはいる。表通りは一般の町並みだが、裏の通りは確かに5〜6階の旅館が並んでいる。その中にパーク旅館を見つけることはそう難しいことではなかった。パーク旅館は、玄関前に緑の多い小ぎれいでさっぱりした西洋風の建物である。私がフロントに行くと誰もいない。元気なアジュマが切り盛りしている旅館ということだったが...。何度か「ヨギヨー」と呼ぶと、期待に反してアジョシが出てきた。今までの旅館と違い、生活感の臭わない落ち着いた内装で、ちょっと宿泊費も高くなるかなと思ったが、結局3万5千wだった。
 フロントの前の階段を上り、部屋を探して入る。暑さに弱い私の関心はクーラーである。今までの荘旅館と同様のちゃちなクーラーがある。が、冷房は利かなかった。窓から見える隣のホテルの窓には、ちょっとましなクーラーがあるのがうらめしい。
 しばらく休んで明日の計画を立てるために、駅に行くことにする。旅館から駅はそんなに遠くない。大通りに出て、目の前にある大きな五叉路(バスターミナル横にも五叉路があってこれと勘違いしていた。)を渡ると、もう目の前に駅が見えている。だだっ広い駐車場、そして平屋のこじんまりした駅。春川もそうだったが、終着駅かつその地方の主要大都市の駅のイメージからはほど遠い、のどかな田舎駅である。駅前の駐車場にもバスやタクシー、出迎えの車の姿はほとんど見えず、がらーんとしていて、人自体もほとんどいない。
 駅の右端には荷物専用の建物があるが、駅の中は普通の田舎駅って感じである。売店こそあるが、売り場もなんか頼りない。とはいっても、検索用のコンピュータが置かれていたり、社各機種の携帯電話の充電器がどっと置かれてもいるのは、韓国らしい。時刻表も左と右で二パターンあるようで、どう使い分けるのか分からないので、こんがらがる。日本では距離的に考えても、朝の便に乗れば昼前には釜山に着きそうなものだが、一番早いものでも昼前発の、釜山着が夜である。何でこんなに時間がかかるんだ。釜山行きは便そのものも数便しかない。余裕があれば、慶州なんてもんじゃない。
 駅前にはほとんどバラックのインフォメーションセンターがある。そこさえも人はいない。仕方ないので、出してあったパンフレットを取る。江陵の観光地図と「韓国の国立公園」という日本語のもの、「コリアンABC's」という韓国語の初歩資料である。鉄道は半ばあきらめて、高速バスも明日の移動の選択肢に入れることにする。ということで、再びバスターミナルまでの道のりを足を引きずって歩くことにする。
 歩いてバスターミナルに行くと、だいたいこの通りは雰囲気が分かってきた。バスターミナルに着き、バスの時間を見ると、結構あるもんだ。7時20分から一時間おきに釜山行きのバスが出ている。やはり韓国はバス社会だ。鉄道は、暇でのどかな旅行をする人のための特別な乗り物って感じだ。「フレンズ」では、江陵の近くの駅で、浦項の軍訓練所に行った智子が汽車を待つ映像があったが、ソウルに帰るには高速バスが手っ取り早いのだ。まっ雰囲気はあるが...。さっそく時間も聞いてみた。「プサンカジ・シガニオルマナコルリョヨ」すると「ユクシカンコリョヨ」と答えが返ってきた。これなら昼過ぎに釜山に行ける。

   2002' 8/27