海印寺
海印寺は、通度寺、松広寺とともに韓国の三宝院の一つである。そして八万大蔵経の存在故に世界遺産にまで指定されている。さて、この八万大蔵経とは何というと...。高麗23代王が、北方民族の侵略に対する国家安泰を願って16年の歳月をかけ彫造させた木盤の経典である。作られたのは、江華島であるが、1398年朝鮮王朝時代にこの寺に移された。大蔵経とは仏教の経典、論書などを総集したものである。冊数にして6791、経板数8万1258枚がこの寺の上部にある蔵経板庫に収められているという。この版木は、24.5cm×68cm×3cmの南海・巨済産のホウノキでできており、数年間海水につけ陰干ししたものに、漆を塗ったものである。
802年に創建のこの寺は、塔寺から残るものは少ないながら、90もの堂宇や石塔は荘厳であり、見応えのあるものばかりだ。梵鐘のデジタル時計やライオンはいただけないが、冥府殿の釈迦如来と名僧の像などには圧倒される。再び降ってきた雨の中、これらを見て回る。
そして大寂光殿を回り込み、いよいよ大蔵経殿に登っていく。入口は左上の写真のように丸く、まさに体内巡りの様相である。一歩中にはいると、右の写真のようにサンプルの経板が一枚抜き取って置いてある。その奥に左写真のように建物いっぱいにずらりと経板が並んでいる。さらに奥にある同じような作りの法宝殿では、5、6人が上がり込んで勤行をしている。ここの如来は、金剛界の大日如来のごとく智拳印を結んでいる。このあたりは、海印寺の核心部であり、いろいろとカメラを向けて遠慮なく撮っていたが、僧も無頓着でとがめられることはなかった。雨は強くなってきた。こうしているうちに9時を回った。雨もやみそうにないので、そろそろカヤ山へ向かうとしよう。
といっても、登山口を見つけるまでは安心はできない。登山地図から推測すると、海印寺の上を登山道が通っているはず。しかしそれらしき道は見あたらない。そこで、梵鐘のところまで下り、その左側(沢の方)から寺の外に出て、登山道を探す。
川沿いに結構広い道があり、すぐに左写真の「カヤ山」への道標が目に入った。川の向こう側に石塔や煉瓦造りの建物もあって興味もそそるが、天気が悪化する前に、まずは山に向かおう。海印寺からカヤ山の最高峰牛頭峰まではちょうど4kmの行程のようだ。
9時30分、右写真の登山監視所のような小屋の前に着く。ただしこのときは全く人気がない。ここの開
けた空間には、旗の掲揚支柱も4本あり、何か行事が行われるのかもしれない。いよいよここから、登山をするという感じだ。
2003 08/18