カヤ山登山
監視所のようなところからそこから少し入ってはいっていくと、木道があり、右の写真の橋が見えてきた。どうもここが沢沿いの登山道と磨崖仏経由の登山道の分岐らしい。しかし、沢沿いの道は通行止めになっていた。そこには、登山行程図があり、それを見ると、完全にそのコースは白で消されているので、一時的なものではないらしい。というわけで海印寺からの登山道は、プラス700mの磨崖仏経由だけになっているわけだ。結局、この分岐から頂上までの行程は、ちょうど4kmとなった。
9時34分、分岐の橋を渡り、比較的広い山道を登る。すぐに道標もない紛らわしい分岐がある。しかし、どちらを通ってもすぐに合流するようである。私の前を母娘らしい二人連れが登っていたが、雨がやみそうにないためか、そのうち引き返してしまった。その後、下山するまで全く人には会うことはなかった。かなり遅くなっても行動する韓国人ハイカーも、雨には弱いらしい。ふと足下に動くものの気配がした。見ると手のひらにのるくらいの大きさのカエルである。右の写真がそれだが、イボイボからヒキガエルらしい。黄緑の模様もあり日本では見られない種なのでしばらく観察した。3度ほど沢をわたり、ぐんぐん登っていく。登り切ったところ(標高1000m)に磨崖仏があるのである。
10時35分、磨崖仏立像(右写真)下に着いた。磨崖仏というが、実際は数mの板状の石に如来を彫り込んだものである。像は結構鮮明である。相から如来ではあるようだが、右手は阿弥陀仏の中品の転法輪印のようで、左手は甲を上にして軽く曲げた今まで見たことのない手印である。足下に小さな祠があり、ろうそく立てや、飲み物が入っている。そこからは、一気に下る道となる。標高で70mほど下り、沢をわたってよく整備された木道を登り返す。
11時、再び標高1000mほどまで登ったとき、閉鎖されていた沢沿いの登山道と合流した。ここからも、丸木が階段状に敷いてあり、よく整備された道であるが、雨がかなり強くなり、その道を滝のように水が流れ出した。まだまだ雨は激しくなりそうだ。このまま激しい雨が降り続けると、沢の水量が増えて渡れなくなるのではないか?とも思えだした。ほとんど一本道の登山道なので沢が渡れないと動きがとれなくなる。行程も後1時間ほどある。引き返すことも考えたが、半分やけくそになっていくことにした。今度は足下に純粋なヒキガエルも登場した。
11時23分、低木帯に出て、一気に視界が開ける。ヘリポートある。もう隠れるところはなく、激しい雨にまともに打たれながらひたすら登る。右手に石掘如来立像への道を過ぎ、11時40分、眼前に頂上部と思われる岩峰がそびえ立つ。(左上の写真)すぐにその岩の下にたどり着き、大岩を縫うように登っていくことになった。丸や矢印などの案内もないので道がわかりにくい。一度道を間違えたが、踏み跡をたどり何とか歩く。最後にガレ場を登るが、もう雨水の川になっていて渓流登りのような風情である。もう靴の中まで濡れてしまい、気持ちが悪い。
12時に頂上直下の道標(右写真)に出る。花崗岩の大岩に挟まれた鞍部で、左に行くと頂上まであと200mである。しかし、ガスで展望も悪く、道もよくわからない。滑りやすい岩を登り、少し行くと、白雲洞やチルブル峰への分岐がある。足下の岩陰にニッコウキスゲのような花をはじめとした高山植物群が見られる。登り切ったかと思うと「頂上まで50m」の表示が見え、再び岩峰が前方に現れた。そのまま、鉄の階段をまっすぐ登れば牛頭峰である。
12時12分、牛頭峰の石柱(左写真)の前に飛び出した。説明板もあるが、実際の最高所はもう少し登ったところである。
山頂部は岩だらけだが、写真のように岩の隙間にいろんな高山植物の可憐な花が咲き誇っている。人気のないガスに被われた岩々の合間に、小さな水玉をいっぱいつけたこれらの花々を、いつまでも鑑賞していたいがそうもいかない。沢が渡れなくなる可能性があるからだ。ということで、下山することにする。
2003 08/18