西帰浦の朝

 さすがに前日の漢拏山登山山行は疲れたようで、泥のように眠っていて起きたのは午前8時前であった。今回の済州の旅も最大の目的を達して、気持ちがずっと軽くなった。天候によって変わる漢拏山登山で旅程を考えるつもりだったので、あっさりと漢拏山登山がかなった今、今後の予定は大きく2パターンに分かれることとなった。一つは徹底的に済州島を散策すること、一つは金大中により大きく発展したといわれる木浦経由で全羅道を見ておくことである。いろいろ考えて、まずは日出峰と万丈窟を見ておくことにした。その前に歩いていける西帰浦の観光地、天地瀑布と正房瀑布に行ってみることにした。
 小さなアクリル水槽の金魚に別れを告げ、旅館を出て西門路を南下する。バスターミナルの公衆トイレはどんな建築家が設計したのか斬新なものである。西門路の歩道は木片が敷かれ、暖かい雰囲気であるが反面汚れも目立ってしまう。国道12号に出て、地図で確認していた天地瀑布の上にある公園に行く。
 バリアフリー化されたトイレや庭園、寺まである広い公園で、そこをぐるりと回って滝の落ちる地点あたりを探すが、ここからは下りられないようになっている。仕方ないので、ソンバン川を渡って対岸に行ってみるが、そちらはさらに畑ばかりで、滝に下りるところはないようだ。写真は橋の上から見た漢拏山とでそのあたりの様子である。特産のミカン畑が結構あって、ミカンの嫌う風を防ぐ石垣は溶岩を単純に積んだものだが結構風情がある。防風林の杉も日本のようにきれいに剪定してあるわけでもない。
 どうも天地瀑布は南からぐるりと回り込まなければならないらしい。そこで、先に朴さんに手紙を出しておくことにした。釜山に着くのは30日の夜になりそうだということを知らせ、できれば31日には釜山で会いたいということを伝えたいためだ。中央路の方に向かい市場のの西の端にあるコンビニでエスプレッソを買い、韓国では一般的なコンビニ前のデスクで手紙を書く。便箋と封筒は日本から持ってきたものだ。目覚めたばかりの朝の市場は準備にあわただしい。
 手紙は切手を貼ってポストに入れればいいのだが、額もよく分からないので郵便局に行く。市場の南で歩いていた二人の若い警察官に聞くと、英語で道案内してくれた。といっても20mほど前であったのだが..。
 郵便局の中で郵便物を扱うのは右の奥のカウンターだ。傍らにはちゃんとPCルームもある。さすが韓国である。最初職員は国際メールと思ったらしいが、釜山市..と漢字の宛名と名前の手紙を確認して、切手代を請求した。額はメモが失われたので忘れたが、日本とそう変わらない印象だった。28日朝に出したのだから日本なら遅くても30日にはつくだろう。
 次に私は、面倒な経路にやめようかとも思ったが、せっかくだから天地瀑布に行くため歩いて南に下り、七十里橋に向かう。西帰浦のあたりはほとんどが段丘になっているため、海岸にはどこからでも下りられるわけではないのだ。降り口の家の前に写真のようにミカンの皮が干してある。無農薬なので、漢方薬の材料である柑皮を作っているのであろうか。

  H14.12.28-1