統営の夜
巨済から統営までの国道は4車線で広く、高速道路みたいである。さっきの渋滞とうってかわって、スイスイ流れる。巨済大橋を渡り、しばらく丘陵地を走っているうちに暗くなってきた。そのうち、左手に大きな街の灯りが見えてきた。どうもここが統営らしい。幹線道路から降りてすぐ、7時47分に統営バスターミナルについた。統営バスターミナルは街の北のはずれにある。港までは結構距離があるようだ。
ターミナルでほとんどの客が降りる。ターミナル内にコインロッカーがあるのを確認して出る。実は明日は巨済と統営を見て回ろうと思っていたのだが、泊まるところとしては巨済の古県ではなく統営にしたのだ。韓国のナポリと呼ばれるきれいな夜景の港町であり、南望山という朝登れる山もあるからだ。
そういうわけで、港の近くで泊まりたいが、結構な距離がある。結構今日は疲れているけれど、せっかくだから歩いて港まで行ってみよう。道路を南下すればいいだけだ。そうしてドンドン下っていく。バスもばんばん走っていて、通りはにぎやかだ。少し歩くと、右の写真のように水槽にウナギのような魚がいる料理屋がいくつかある。ウナギかアナゴかと思ってよく見ると、口にはひげがあり、日本ではお目にかからない魚だ。ヤツメグナギでもないし、色が白いから深海魚なのだろうかとも思う。道ばたでそれをさばいているアジュマがいたが、ウナギのようにさばいていた。
日は暮れたとはいっても蒸し暑く、今回準備した青の丈夫なうちわが活躍する。道の道標では海底トンネルの方向だ。左にスタジアムの道標が見えてきた。ということはまだ半分も歩いていない。そのうち街もにぎやかになってきた。すると通りに左の写真のような櫓が立っている。それが何カ所もあって、赤い矢印のパネルが貼ってある。何があるのだろうかとも思ったがそのまま南下する。また、各所に李舜臣の像のポスターが貼ってある。よく見るとどうも8月10日から14日まで、李舜臣に関するフェスティバルがあるようだ。それで櫓も建っているわけだな。
左手に右の写真のような市場があったので、そこにもよって歩く。もうそろそろ閉める時間なので、客もそんなに多くないし、片づけている店もある。そしてトンネルの道標の方にドンドン南下していくと、どうも繁華街からはずれている気がしてきた。櫓もないし、なんか変な方向に行っているのではと思い、左折する。ここをまっすぐ行けば必ず海に出るだろうと思ったのだが、案の定、すぐに海に出た。どうも海岸線と平行に歩いていたようだ。今度は海岸線沿いにカング湾の方だろうと左に歩く。ほどなく旅客船ターミナルが見えてきたので、やっと現在地が判明した。また、このあたりにモーテルが集まっているようである。もう9時近くなっているので、とにかく宿泊場所を決めて夕食にしたい。きゃばいモーテルが多いが、その中でも落ち着いたモーテルの一つに入る。4万wでエアコンもあるというが、ちょっと高い。アジュマが気さくな人なので、307号室に泊まることにした。確かに小さいがエアコンもある。
すぐに夕食のために外に出た。少し歩いたところにLG25を見つけた。その少し先に開いている食堂があったので入る。その店は「チャンオマダム」(ウナギ広場?)というくらいだからウナギ専門店なのだろうがその時はわからなかった。メニューを見ると一人で食べるものはチャンオタン5000wくらいである。こんな海辺の店なのにおかしいなと思いながら「チュオタン」と言うと、「チャンオタン」となおされてしまった。ミッパンチャンが多く、いい店だ。左写真のチャンオタンはさっぱりした白身の魚が入っている。味もウナギと言えるが、たぶん来るときに見たヒゲのあるウナギなのだろう。ビールを飲みながら食事していると、後ろで「ドドン」と大きな音がした。テロかと思って身構えたが、それは花火だった。後でわかったことだがすぐ近くで、例のフェスティバルのコンサートがあって、そのフィナーレの花火だったのだ。飛び出したくなったが、食事しだしたところなのでぐっと我慢。ビルの窓に映る花火を鑑賞した。おもしろかったのは花火の音の振動に反応して、近くに停めてあった高級車のセキュリティーシステムが作動して警告音が鳴りだしたことだ。鳴りやんだかと思うとすぐに次の大きな花火が鳴ると再び鳴り出す。サイレンに反応する犬のようである。
帰りにLG25で、酒とつまみとキムパプとバナナ牛乳を買ってモーテルに帰る。冷蔵庫を開けると、ファイバーミニと同じようなドリンクが入っている。見るとエロスファイバーという名であった。「戻ってきてスネさん」と「透明人間チェジャンス」を見ながら寝た。
2006 08/10